先日Amazonのおすすめの本を見ていたら、「考えるナメクジ」というタイトルにインパクトがあって、面白そうな本があったので購入して読んでみました。福岡女子大学教授の松尾亮太博士が書いた「考えるナメクジ」ー人間をしのぐ驚異の脳機能ーという本で、一般向けにわかりやすく書かれていて読みやすいのですが、内容は驚かされることがたくさん書いてあり、ナメクジのイメージがだいぶ変わる事になりました。
例えば驚くべきことにナメクジは【二次条件づけ】や【ブロッキング】と呼ばれる高次の学習ができるそうです。二次条件づけとはパブロフの犬の例で言えば、メトロノームの音とエサがもらえるということを連合させた後、特定の視覚刺激(四角模様)とメトロノームの音を組み合わせて提示することをおこなうと、犬はやがて四角模様を見せられただけで、唾液が出るようになる、という学習です。ナメクジではまず、にんじんジュース(ナメクジは大好き)の匂いと、苦い味のするキニジン硫酸水溶液(ナメクジは大嫌い)を組み合わせて与えることで、にんじんジュースの匂いを嫌いにしておいて(条件づけ)、にんじんジュースの匂いとポテト香料の匂いを同時に提示すると、ナメクジはポテト香料も避けるようになり(二次条件づけ)、複雑なロジックを含む論理学習ができることが示されています。
そう言えば「火の鳥」未来編で人間が滅びた後に高度に進化したナメクジが現れて、人間と同じように文明を発展させて地球上を支配してしまうストーリーがあったのですが、手塚治虫博士はナメクジの「脳力」についてご存知だったのだと思います。今後、人間の言葉を理解し、文明を発展させていくナメクジが出現したら?人間はどのようにナメクジと付き合って行くことになるのでしょうか・・・・もちろん犬でもAIでも同じですが・・・・難しい問題です。ちなみに火の鳥でのナメクジの文明は北方の種族と南方の種族とが戦争を起こして全滅するというストーリーになっています。