遅ればせながら映画「パラサイト」を観ました。第72回カンヌ国際映画祭パルムドール賞、第92回アカデミー賞は作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門獲得してアカデミー作品賞とパルムドールの同時受賞は65年ぶりという快挙であり、韓国では1000万人を超える観客動員数を記録しています。さらにアメリカの映画評論サイトロッテントマトでは9.37という高評価です。格差問題は韓国だけでなく世界共通のテーマであり、うまく富を分配する方法は見つからず、ますます差は開き固定化していく閉塞感というか・・・得体の知れない不安感みたいなものが出ていたように思います(特にラストの部分では)。ポン・ジュノ監督の手腕でしょうか、世界共通のテーマをとある架空の都市で撮っている感じなので、良い意味で韓国映画っぽくありません。この辺りが世界的な賞を受賞した要因の一つなのでしょうか。
しかしソン・ガンホのファンとしては『JSA」や「弁護人」「殺人の追憶」(殺人の追憶はポン・ジュノ監督)はもっと評価されても良いのではないかと思っています。どれも韓国映画色の強い映画ですが、特に「弁護人」は観てもらいたい映画の一つです。「弁護人」は2013年に韓国で(日本では2016年)公開され、韓国で実際に起きた冤罪事件【釜林事件】を題材にしていて韓国では1137万人の観客動員数を突破している映画です。1980年代初頭、軍事政権下の韓国でソン・ガンホ演じる弁護士が、国家保安法違反容疑で逮捕された、若い頃世話になったクッパ店の息子の弁護を引き受ける物語なのですが、拷問による自白強要、不法逮捕なども描かれており当時の韓国の置かれている状況や歴史背景などを知っていないとわかりにくい映画かも知れません(この辺りが海外で評価されにくい要因なのでしょうか)。しかし日本映画で海外で評価されているものは、逆に日本色が強い映画のように思いますので一概には言えませんが、日本映画にも“韓国の映画”に負けないよう世界中の人に見てもらえる、良い映画を作り続けてもらいたいと思います。
「パラサイト」の関係者の皆様、受賞おめでとうございます。
ちなみにコメディであればソン・ガンホ主演「反則王」などもいかがでしょうか?(ちょっとウエットなコメディーです)