安倍晋三回顧録

2023年08月31日 15:35

「安倍晋三 回顧録」安倍晋三著 橋本五郎(聞き手)・尾山宏(聞き手、構成)・北村滋(監修)を読みました。

橋本五郎氏(聞き手)は読売新聞論説委員、政治部長、編集局次長を歴任、2006年より読売新聞特別論説委員。

尾山宏氏(聞き手、構成)は読売新聞政治部次長、論説委員、編集委員を歴任、2022年より読売新聞論説副委員長。

北村滋氏(監修)は1980年警察庁入庁、2006年内閣総理大臣秘書官、2012年内閣情報官、2019年国家安全保障局長・内閣特別顧問(いずれも安倍内閣)。退官後は読売国際経済懇話会理事長や日本テレビホールディングス(株)及び日本テレビ放送網(株)監査役に就任。

この本は2022年7月8日参議院選挙の応援演説を行なっていた際に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の自伝であり、インタビュー形式で日本の政治や外交に関する信念や思いを語っています(2020年10月から2021年10月まで18回、計36時間のインタビューを行なっている)。一次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞ヶ関、党内外の反対勢力との暗闘。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形成を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。オバマ大統領、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席、メルケル首相ら各国要人との秘話も載録。安倍政権の舞台裏を長時間のインタビューによって明かしてくれる内容となっています。(帯の内容紹介文より抜粋)

安倍元首相には好き嫌いがはっきり分かれたり、賛否両論あったりすることはあると思いますが、読んでみて安倍元首相のイメージがやや変わった気がします。無責任であると批判された第1次安倍内閣の突然の辞任、その反省から原因を緻密に分析して戦略的に第2次安倍政権の時に生かしているようであり、人事や政策課題の順番付けや荷重付け、外交戦略、選挙戦略、そうしたよく練った戦略を実行できるスタッフをまとめて確実に突破していく力など、やはり日本のためを思って苦労されたのだなあと感じました。本の中では森友学園や加計学園、桜を見る会などの安倍元総理にとって耳の痛い質問(森友問題については新事実が明らかになると再度質問するなど複数回質問されている)などもあったのですが、真摯に回答されているように思えます(やや国会答弁風でしたが)。がしかし、個人的に言えばやはり何かが不足しているように思います。総理大臣といえば権力の座ついている者であり、誰もがその人物を見て、顔色を窺って仕事をするようになるでしょう。もちろんそれは政治家の考えを実現するために必要なことであり、ある意味当然の結果と言えるかもしれません。それに歯止めをかけられるのは、権力の座についている者から滲み出てくるような態度のような気がします。権力を握っていれば敵も多いでしょうし、謙虚さは命取りになるのかもしれませんが、この本の回答からはそうした(曖昧で感覚的なものになってしまって申し訳ありませんが)態度のようなものが感じられません。歴代最長7年9ヶ月・・・・・権力は腐敗すると言いますが、本当はどうだったのでしょうか?考えてみたいと思います。

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