「マザーツリー森に隠された「知性」をめぐる冒険」スザンヌ・シマード博士著を読みました。この本は博士による回顧録のいなっているので、論文をもとに研究内容を一般向けに解説したり、研究の苦労話などを期待して読むと若干読みづらい本です。生い立ちからライフスタイルや趣味・人生観に至まで色々な事柄が盛り込まれているため、所々で話は飛んだり回り道をします。研究部分だけを抽出して聞きたければ、TEDxシアトルで話されている内容がこの本の要約のようになっています(英語のできる方はそちらがオススメだと思います)。
スザンヌ・シマード博士は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州生まれ。森林の伐採に代々従事してきた家庭で育ち、幼い頃から木々や自然に親しむ。大学卒業後、森林局の造林研究員として勤務、従来の森林管理の手法に疑問を持ち、研究の道へ。木々が地中の菌類ネットワークを介してつながり合い、お互いを認識し、栄養を送り合っていることを科学的に証明してみせた彼女の先駆的研究は、世界中の森林生態学に多大な影響を与え、その論文は数千回以上も引用されている。Nature誌に載った1997年の論文は「Net transfer of carbon between tree species ectomycorrhizal fungi」であり、ワールド・ウッド・ウェブとして知られるようになる。(本の著者紹介文引用)
この本における博士の森林の木々の関係についての数十年にわたる研究はこんな感じです・・・・長く支持されてきた森林生態学の「競争」モデルが不正確であり、代わりに森林内の植物生活の主要なダイナミックは協力と相互依存であることを示している。森林の中で生物が相互につながっていること示し、森林の床下に木々がどのようにコミュニケーションし、資源を交換しているかを科学的研究により証明しています。森林を単なる資源ととして利用するという単純な見方を超え、複雑な生命のネットワークとして考え、そこから自然の複雑さを構成する関係性は、「私たちは皆ひとつ」という考えに至っています。(チャットGPT作)
読むのに少し骨が折れましたが、内容は面白かった。森林の木々がインターネットや脳細胞のように地下でつながっていて、情報をやり取りしたり、栄養をやり取りして、協力し合っていた!森は単に競争で成り立っているわけではなく、もっと複雑でもっとしなやかで、人間が考える以上にもっと緻密に上手くできている・・・・人間の脳細胞のように広がっているネットワーク・・・・興味深いです。鎌倉でも木々が塩害でやられているといったニュースを目にするので、菌根菌は塩害を防ぐように木々と協力関係にあるのか調べてみたところ、アーバスキュラー菌根菌は、塩分ストレスに対する植物の耐性を高めることができるそうです。「私たちは皆ひとつ」・・・やはり世界はつながっているようです。