大地の五億年

2023年06月02日 17:24

「大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち」(文庫版)藤井一至著を読みました。藤井一至博士は2009年京都大学農学研究科博士課程修了。京都大学博士研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。専門は土壌学、生態学です。インドネシア・タイの熱帯雨林からカナダ極北の永久凍土、さらに日本各地へとスコップ片手に飛び回り、土と地球の成り立ちや持続的な利用方法を研究しています。

本の内容は(裏表紙にある紹介文がわかりやすく書いてあるので、そのまま載せたいと思います)、今から五億年前、地球上に「土」が誕生した。ひたすら土を食べて土壌を耕すミミズ、岩を溶かすように進化したキノコ、土で塩分を補給するオランウータン・・・。土は動植物の躍進を支えるとともに自らも変化し、恐竜の消長や人類の繁栄に大きな影響を及ぼしてきた。土の中に隠された多くの謎をスコップ片手に掘り起こし、土と生き物たちの歩みを追った壮大なドキュメンタリー、こんな感じです。

前書きに藤井博士が書いていますが、地球の歴史46億年の中で、41億年目まで地球に土はなかった。今から5億年前に植物が上陸したことで、緑と土に覆われた大地が誕生した。・・・・・考えてみれば当たり前なことですが(他の惑星に土ってないですよね)、普段あまり考えたことがないので改めて気付かされました。「天空の城ラピュタ」に出てくるシータの、「土から離れては生きられないのよ」というセリフがありますが、エネルギーと窒素肥料をダブつかせた結果、温暖化や土壌劣化を騒ぎ始めた現代人は、糞尿のリサイクル、焼畑農業、水田耕作などの自然資源(森林や灌漑水)を有効利用する知恵を見直す必要があるのかもしれません。壮大な土と生命のドキュメンタリー・・・・・・面白かったです。

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