Chatter 頭の中のひとりごと

2023年03月03日 09:13

「chatter 頭の中のひとりごと」イーサン・クロス著を読みました。著者のイーサン・クロス博士は意識と心のコントロールに関する世界的な第一人者です。ミシガン大学の教授であり、感情と自制研究所の所長でもあります。その心理学や神経科学に基づく先駆的な研究は「ニューヨーク・タイムズ」「ウォール・ストリート・ジャーナル」「USAトゥデイ」「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」などで取り上げられているそうです。

近年、多くの堅実で新たな研究によって、苦痛を感じているときに内省を実行しても有害無益であることが明らかになっている。それは、仕事のパフォーマンスを低下させ、適切な判断を下す能力を阻害し、人間関係に悪影響を及ぼす。暴力や攻撃性を助長したり、さまざまな精神疾患を引き起こしたり、体調悪化のリスクを高めたりすることもある。〈中略〉要するに、思考によって思考から救われないことがあまりにも多い。それどころか、思考は油断ならない何かを生み出しているのだ。それが、チャッター(頭の中のしゃべり声)である。チャッターを構成するのは、「循環するネガティブな思考と感情」だ。こうした思考や感情は、内省という素晴らしい能力を祝福ではなく呪いに変えてしまう。私たちの行動、意思決定、人間関係、幸福、健康を危険にさらすのだ。(はじめにより抜粋)・・それでは私たちが自分自身と交わす会話が脱線してしまった時に、それを元の軌道に戻すにはどうすればいいだろうか?・・・・そのコントロール法については本の中で具体的に博士が26の方法を挙げていますので是非読んでみてください。

私が注目した部分は、過去の痛みや未来への不安に囚われるのではなく、まさにいま、他人や自分自身と繋がることに集中すべきだというアドバイス「いまを生きよ」に博士が触れているところでした。
人間は、いかなるときも「いま」にしがみつくようにはできていない。私たちの脳は、そうするように進化してはいないのだ。近年、いかにして脳が情報を処理するかを調べたり、リアルタイムで行動を観察したりする最先端の手法によって、人間精神の隠れたメカニズムが解明されてきた。そうすることで、人類について注目すべき事態が明らかになった。すなわち、目覚めている時間の3分の1から2分の1のあいだ、私たちはいまを生きていないのである。息をするように自然に、私たちは「いま、ここ」から「離脱」し、過去の出来事、想像上のシナリオ、その他の内面の黙想へと脳によって導かれる。こうした傾向は極めて基本的なので、「初期状態(デフォルト)」という名前がついているほどだ。(はじめにから抜粋)

人生で最も重要な会話、自分自身との会話。・・・西洋、東洋を問わず、何千年も続いている精神的伝統は内なる声を怖れるとともに「知恵」であると信じていた。これはなかなか難しい問題であり、奥が深い問題であり、面白い問題なのではないかと思いました。じっくり考えてみたいと思います。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)