「貧乏の棒も次第に長くなり、振り回されぬ年の暮れかな」「貧乏をすればどこの家(や)に風情あり、質の流れに借金の山」落語の「掛取万歳」という演目に出てくる狂歌です。ツケの取り立てにきた狂歌好きの大家さんを、店子の八五郎が狂歌でなんとか誤魔化して支払いを待ってもらおうとするシーンに出てきます。昔はよくツケで買い物をすることが多かったようで(今で言えばローンということになると思いますが)、大晦日というと1年溜まったそのツケの代金を取り立てにくる日だったらしく、その他の演目でもこういったシーンはよく出てきます。落語にはこの歳末の時期の名作が多く「掛取(ツケの代金の取り立てのこと)万歳」や「芝浜」「文七元結」「冨久」などもあります。歳末はいろいろなことの締めくくりがやってきて人世諸相の縮図を反映しています。(ちなみに狂歌とは社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込み五・七・五・七・七の音で構成した諧謔形式の短歌)
12月となって今年もあと一月を切っています。よく競馬中継で“最終コーナーを回って最後の直線に入りました“などと言いますが、もうすでにゴールにかなり近づいて来ているところでしょうか。確か来週12日(月曜日)には今年の漢字が発表になる様です。今年もいろいろなことがありました、34都道府県にて蔓延防止措置、北京オリンピックではメダルが過去最多の18個獲得、ロシア軍がウクライナに侵攻し戦争が始まり、仙台育英が東方初の夏の甲子園優勝、安倍元首相の銃撃事件があり、FIFAワールドカップで日本代表がベスト16入り。新型コロナは感染者は増加傾向はありますが、だいぶ世の中の雰囲気は落ち着いてきていて、ワクチン接種は進み分類も第5類に変更が検討され始めています、冷静に個々で感染対策をしながら共存していく方向に向かっていると思います。コロナやウクライナ戦争、物価高と暗いニュースもありましたが、「ドライブ・マイ・カー」のアカデミー賞受賞やワールドカップなどの明るい次につながるようなニュースもあった様に感じます。私が世の中を変えられるわけではないのですが、願うことにお金はかかりませんし、誰にも迷惑をかけるわけでもない・・・・来年はより良い年であるように願っています。