人新生の「資本論」

2022年11月18日 08:11

『人新生の「資本論」』斎藤幸平著を読みました。著者の斎藤博士は東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻准教授。専門は経済思想、社会思想。マルクス研究界最高峰の賞であるドイッチャー記念賞を、当時31歳で歴代最年少受賞。人新生の「資本論」では新書大賞を受賞しています。内容は、難しく書いているわけではなく、わかりやすく解説してくれているのですが、説明しづらいので表紙裏の解説そのまま書きます。

人類の経済活動が地球を破壊する「人新生」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。

読んでみて思ったのは、ちょっと話が出来すぎてるなあと感じます。もちろん理屈としては成り立っていて説得力もあるのですが、こういう方向性で変えてみた時に、世の中の人が本当に納得して動くのだろうか?もちろん飽くなき利潤追求の結果、徹底してムダを排除して(一見ムダに見えても必要なことってると思うのですが)金儲け至上主義になり、お金をあちこちに回して利鞘を稼いでいる人たちが世の中でもトップクラスの年俸をもらっている。対してエッセンシャルワーカーと言われている人たちの給料はなかなか上がらない。こんな行き過ぎた格差社会は何とかならないだろうか?と思います(もちろん環境破壊・温暖化対策も蔑ろにされてしまう)。

資本主義が完璧だとか、これ以外は方法がないとは思いませんが(むしろ欠陥が多いとも思います)、もっと上手く運用していく改革方法があるのではないかと感じます。いずれにせよ、経済を回していくため誰がどの様な形でお金を出すのか、どのようにどれくらい働くことが豊かな暮らしにつながるのか、地球からどのようなものをどれくらい搾取可能なのか、これらのバランスをどこにもっていけば循環可能な世界になるのだろうか?・・・難しい問題ですが考えてみたいと思います。

記事一覧を見る