同志少女よ、敵を撃て

2022年09月23日 08:17

1年近く待ちました、図書館で借りると300人ぐらい予約が入っている人気作品です。第11回アガサクリスティー賞(史上初、全選考委員が5点満点)、第19回本屋大賞(ダントツの得票数)などを受賞している、「同志少女よ、敵を撃て」をとうとう読むことができました(最近、文庫も発売されたようですが)。著者の逢坂冬馬さんはこの作品がデビュー作になります。期待を裏切らない面白さでした、米国だとトム・クランシー、英国だとフレデリック・フォーサイスといったところでしょうか?ハリウッドで映画化されてもおかしくない様な壮大なスケールの作品になっています。第二次世界大戦を描いているといっても「太平洋戦争」ではなく「独ソ戦」です。スターリングラードの攻防戦などは歴史的事実として知っていますが、小説にするには、なかなか日本では取り扱いづらい題材でなないかと思います。

赤軍(ソビエト連邦軍の前身)に実在した女性だけの狙撃訓練学校と部隊を描いていて、一人の女性狙撃手がたどる独ソ戦の物語なのですが、内容はこんな感じです・・・・独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親や村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」ーそう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために・・・・・。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵“とは?(本の裏表紙、あらすじより)

戦争で得るものとはなんでしょうか?力づくで略奪しようとするものとは?領土?資源?、戦争は起こしたら負けです。ありとあらゆるものをぶっ壊していく。建物、自然、システム、人間関係、人の心まで・・・。主人公のセラフィマは外交官になるために、ドイツとの架け橋となるために大学に進学する予定でした。小説はあくまでも物語なのですが、こうした歴史を経てきている現在、いまだに戦争がなくなっていないことを、改めて考えさせられました。

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