Netflixのドキュメンタリー映画「両刃の先進医療」を観ました。あくまでもアメリカの事例なのですが、最先端の医療機器による問題です。患者さんを危険に晒すことになってしまった最新の医療機器について、症状が改善されないのみならず、再手術や後遺症に悩まされている患者さんの生活状況や、多くのインタビューなどで構成されています。いくつか紹介されていますが、どれも新しい技術で革新的、安全で簡単に処置ができることなどがメーカーからは強調されています。新しく革新的であるということは、逆に言えば症例が少なく安全性が長期間かけて実績が確立されてきた技術とは違って、一歩引いて俯瞰して見る必要があると思われます。まさに題名にもありますが諸刃の剣であって、いち早く普及すれば患者さんの悩んでいる期間をより短縮でき、その恩恵に預かる人がいる反面、問題が起こってしまう危険性(リスク)は高くなります。新しく導入された医療機器の問題点を指摘した医師は、医療機器の認可されるために必要なデーターよりも、問題を起こした医療機器を撤退させるためのデーターに対するハードルの方が高いのではないかといったコメントをしています。さらに他人事ではないと思うのですが、メーカーの業界団体がロビー活動を行なってお金が流れていたり、規制当局の天下りの問題などの構造的に同じような問題を日本でも抱えているような気がします。もしかすると医薬品にはデータの取り扱いに厳しい医師も、医療機器になるとハードルが下がるといった心理的な側面もあるのかもしれません。新しい技術であれば患者さんのためになるのであれば、恐れず試してみるべきなのでは・・・・といった心理が働く可能性もあります。おそらく日本では欧米の最先端技術は少しタイムラグがあって導入されると言った側面があるので、だいぶデーターの蓄積があってから安全性などが判断されるために、これまではこのような危険に晒されることは少なかったと思われます。しかし今日、医薬品でもそうですが、データーの取り扱いは世界で統一されつつあるので、導入にあたってタイムラグは少なくなってきています。メリットもあればデメリットもある、もちろん物事にはどちらもあることは承知していますが、医薬品や医療機器において、どのあたりに重心を置くべきなのか?考えさせられました。