「21世紀の社会契約」ミノーシュ・シャフィク博士(著)を読みました。デイム・ネマト・アタラト・シャフィク博士は、エジプトに生まれ、幼少期にアメリカに移住(イギリス・アメリカ国籍を持つ)。イギリスのセント・アントニーズ・カレッジ(オックスフォード大学)大学院で博士号を授与され、36歳の時に最年少で世界銀行の副総裁に就任する。イギリス国際開発省の事務次官や国際通貨基金(IMF)の副専務理事、イングランド銀行の副総裁を歴任し、現在2017年より、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス学長に就任しています。数多くの国際的組織で主要職を歴任しているキャリアの中で、ベルリンの壁崩壊やアラブの春、2008年の金融危機やユーロ危機などにも対応してきており、グローバル化、新興市場と民間融資、国際的な開発、中東とアフリカの将来、そして環境問題などについて論述、教育、出版をおこなっています(英語・アラビア語・フランス語が話せるらしい)。この本の原題は「WHAT WE OWE EACH OTHER /A New Social Contract」となっていて、こちらの方が内容を表している感じが出ています。最終章の第8章『新しい社会契約」にはマーティン・ルーサー・キング牧師のクリスマス説教が引用されています。[真の意味で、すべての人生は相互に関連している。すべての人々は、相互関係という逃れられないネットワークの中にとらわれ、運命という単一の衣の中で結び合わされている。ひとりに直接影響するものは、間接的に全体に影響する。私は、あなたがたがあるべき姿になるまで、己のあるべき姿になることはけっしてできない。そしてあなたがたも、私があるべき姿になるまで、あるべき己になることはけっしてできない]。・・・世界は繋がっています。シャフィク博士は教育、健康、高齢化、次世代への負(正)の遺産などについて(もちろん日本だけの問題でなく世界中のあらゆるところで起きている世界全体の問題)、人間がつくった社会契約は、人間がつくり直すことができるとして、数々のデーターと経験から、どの様なことが問題で、どの様な方向性で進むべきかを紐解いてくれています。もちろん自由は大事なことであり、何でもかんでも規制して縛りを強化すれば良いというものではないとは思いますが、生きずらさや働きにくさ、次世代に対する負の遺産など閉塞感を感じていることは確かなので、誰もが支えあえる世界とは何か?、新しい社会契約を結び直すという観点が必要なのかもしれません。・・・・・・・・・・・考えてみたいと思います。