経済参謀

2022年06月17日 17:13

大前研一博士をご存知でしょうか、日立製作所勤務後、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの日本支社長、アジア太平洋地区会長などを歴任し、94年に退社。企業のコンサルティングにとどまらず、中曽根康弘首相やイギリスのサッチャー首相(当時)に請われて政策をアドバイス。マレーシア、台湾、シンガポールなど各国・地方の経済アドバイザーとしても活躍した。現在、ビジネス・ブレイクスルー(BBT)代表取締役会長、BBT大学学長などを務め、日本の将来を担う人材育成に力を注いでいる方です(福岡県出身とは聞いていたのですが8歳の頃から横浜に移り住んでいて、横浜翠嵐高校出身であることや東京芸大への進学を希望していたことを今日知りました)。今回はその大前博士が執筆された「企業参謀」という本を読みました。これまでも「企業参謀 戦略的思考とはなにか」「大前研一の新・国富論」「ボーダーレス・ワールド」「クオリティ国家という戦略:これが日本の生きる道」「日本の論点」「定欲望社会」等多くの本を読ませてもらっています(これ以外にもまだたくさんあります)。今まで読んできた本の中でもそうでしたが、今回の内容もかなりの危機感を感じる内容になっています。副題に日本人の給料を上げる最後の処方箋とありますが、ここ20年日本の平均給料はほぼ横ばいで、主要国から大きく遅れを取りながら惰性と前例踏襲を繰り返していては、本当に手遅れになってしまうかもしれない・・・・・・・・・・・・・・えーと・・あー・・・・・困ります。そこでこの本では、少子化問題、教育問題、国民国家問題この3大問題の解決することを提言しています(つまりこの問題を解決しなければ日本の老衰は止まらないと帯に書かれています)。それぞれの問題に対してデーターを示して、細かく分析して非常に説得力のある処方箋になっています。今まで読ませてもらった本に共通して言えることですが、今まで動かなかったものを動かすためにはどうしたらいいか?という着眼点というか、抑えるべきポイントの的確さはなるほどなあと、その鋭さに感心してしまいます。それぞれの具体策については本を読んでみてください。エピローグではここに書いてあるような提言を実現してくれる政治リーダーと、もっと若くて行動力のある「経済参謀」の登場に期待しているとあるのですが、優れた案があってもそれを実現できる人材がいなければ、絵に描いた餅になってしまう。これはこれで結構深刻な問題の様です。

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