Netflixで「テイク・ユア・ピル スマートドラッグの真実」という作品を観ました。この中で登場するアデロールという薬についてざっと説明すると。アンフェタミンとデキストロという2種類の薬剤が含まれている処方薬で、アメリカでは注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に使用されています(日本での承認はない)。ちなみにアンフェタミンとは間接型アドレナリン受容体型刺激薬として、メタンフェタミンと同様の中枢興奮作用を持っています。日本では覚醒剤に指定されています(日本で戦後乱用されたのはメタンフェタミン)。このアデロールが「集中力を高めたい」「記憶力を良くしたい」「賢くなりたい」などの願いに応えるためのスマートドラッグとして登場します。2014年のNPO「Partnership for Drug-free kids」の調査によれば、米国の大学生のうち5人に1人が、勉強の効率向上や眠気覚ましのためにスマートドラッグに属する処方楽を乱用していたとする。また「Harvard Business Review」や「The Guardian」などの多くのメディアは、シリコンヴァレーのスタートアップを皮切りに、ビジネスパーソン全体にもスマートドラッグの利用が広がっていることを指摘しています(ネットニュースより)。この作品では、超競争社会で、より効率的にもっと良い結果を残すために、アデロールなどの興奮剤を服用する学生、運動選手、プログラマーたちが登場します。その代償に彼らが直面する危険とは何かを問いかける内容になっています。二足の草鞋を履いており、薬剤師として働いているものとしてはこの問題は他人事ではないと感じています。もちろんアデロールは日本では覚醒剤として扱われているので所持しているだけで違法なので、個人輸入などは不可能ですが、あまりにも競争社会が行き過ぎて、能力向上を薬に頼る?・・・・・この問題はかなり根が深いように見えます。ある大学の研究者が本当に能力向上の効果があるのかをテストしたところ(おそらくダブルブラインドテストだと思います)、認知能力の向上は見られないとの結果が出ているそうです。つまり能力が向上したという勘違いした満足感を得られるだけという結果です。競争を全て否定するわけではないのですが、そこまでしなくてはならないように追い詰める世の中ってなんだろうと考えさせられました。