呼吸

2021年12月23日 16:17

普段はあまり意識することはないのですが、緊張すると呼吸が浅くなったり、風邪ひいて鼻が詰まったりのどが腫れたりすると、呼吸の大切さを改めて感じます。人は1日に2万回以上、一生では約6億〜7億回の呼吸をします。不思議なことに吸った酸素の7割ほどは使われずに肺に戻ってきてしまうようで、ものすごく遊びがあるというか、余裕を持ったシステムになっているようです。今回はBLUE BACKS「呼吸のかがく」石田浩司博士著を読んでみました。石田浩司博士はスタンフォード大学医学部生理学部門客員教授と名古屋大学大学院医学系研究科教授を兼任し、専門は運動生理学。主に運動時の呼吸について研究をされています。そもそも呼吸とは?というところから、内呼吸と外呼吸、解糖系、TCAサイクル、電子伝達系など昔、生物で習った基礎的なことから運動時の呼吸メカニズムや心・体と呼吸の関係についてなど非常にわかりやすく、科学的な根拠に基づいて解説してくれます。さらにマスクをして運動するのはいいか、悪いか?などタイムリーな話題の軽い感じのコラムなども間に挟まっていて、面白く読ませていただきました。

その中でも興味を引いた点を一つ挙げるとすれば、「呼吸は内臓器官の中で、唯一、意識的に変えることができます。」というところでしょうか。普段、呼吸は自動的・不随意に行われています。(ちなみに呼吸は速さと深さで決まりますが、これには、呼吸のリズムとパターンを自動的に調節する機構が必要で、この働きを司る中枢は呼吸中枢と呼ばれますが、さまざまな中枢が働いていてどのようにリズムが形成するかは、ちょっと驚きましたが今のところまだはっきりしていないそうです。)いずれにしろ呼吸中枢によって寝ていても自動的に呼吸をしてくれるようになっているのですが、呼吸筋は骨格筋であり、随意に動かすことが可能な随意筋であることから、呼吸は随意的に深呼吸をしたり息を止めるなど、自分の意志で変えることも可能です。脊髄損傷患者など不随意呼吸ができない場合でも、呼吸は随意にできることから、この随意呼吸の指令は大脳皮質から錐体路を経由してダイレクトに脊髄に伝わり、呼吸中枢をバイパスして、呼吸中枢とは独立して起こるとされています。(MRIの実験で随意呼吸中に呼吸中枢のある脳幹の活動が増加することから、随意呼吸に呼吸中枢が関与している可能性も示唆されている)さらに情動呼吸なるものもあり、動物実験によって扁桃体を電気刺激すると、呼吸数が増加することから、怒り、恐怖、喜び、悲しみなどの一時的な感情の動きからも呼吸は影響を受けます。

なかなか呼吸は面白いですよね、普段オートマチックに動いているものが時々セミオートマチックのようになる。深呼吸をすると恐怖や緊張が和らぎ、呼吸が逆に情動に影響を及ぼしたりもする。考えてみるとなぜこのような仕組みになったんでしょう・・・・・・奥が深い・・・・考えてみたいと思います。








































































































































































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