人類とイノベーション

2021年10月01日 08:54

「人類とイノベーション」という本を読みました。著者のマット・リドレー博士は1958年英国に生まれ。オックスフォード大学で動物学の博士号を取得後、「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォードモードリン・カレッジ名誉フェローであり、世界的に著名な科学・経済啓蒙家です。イノベーションとは結局のところは何なのか?なぜ、どのように起きるのか?私たちに何をもたらすのか?「イノベーション」の法則と未来を記し、米英ではすでにベストセラーとなっている邦訳です。「イノベーション」をWikipediaで調べてみると、イノベーション(innovation)とは、物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味に誤認されることが多いが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味するそうです。発明とか技術革新といったイメージが強かったのですが、この本を読んでみると、幅がものすごく広く社会的な大きい変化に関わっていることが分かります。印象に残った所では、イノベーションはつねに「協力」と「共有」を必要とするとして、それはつねに協力で起こる現象である。1人が技術的な突破口を開き、別の人がその製造方法を考え出し、3人目が普及するくらい安くする方法を練り上げる。全員がイノベーションプロセスの一部であり、イノベーション全体を達成する方法は誰も知らない。たまに、科学的な才能に恵まれ、なおかつ商売にも長けている発明家はいるが、そういう人も最初は他人を手本にするし、のちにも他人に頼っている。具体例をあげてこうしたことの説明を読むと、変革は「1人の天才」ではなく多くの頭脳によってなされることや、イノベーションは科学より「先」に生まれるという意味が何となくわかってきます。さらに印象に残った部分では、イノベーションは「帝国」では生まれにくいとして、帝政は発明を緩やかに減少させ、それが最終的に帝政破滅の原因となる。エジプト、ペルシア、ローマ、ビザンチン、元、アステカ、インカ、ハプスブルク、明、オスマン、ロシア、そしてイギリスといった帝国はすべて、このことを裏付けている。時が流れ、中央の力が保守化するにつれて、テクノロジーは停滞し、エリートは新しいものに抵抗し、資金は事業ではなく贅沢品、戦争、あるいは贈収賄に流れるようになる。イタリアの最も創意に溢れた実りある時代はルネサンス期であり、商人が動かす小さな都市国家だったことが、イノベーションを促進した。分割統治のほうが統一統治より良いことが判明している。要するに自由度が高く、失敗を恐れず実験的な試みを繰り返し行える、時代であり場所であることが必要のようです。
現代の日本はどうなんでしょうかね・・・・・「協力」と「共有」はうまくいっているのでしょうか、また中央集権的は病に陥ってはいないのでしょうか・・・・・考えさせられました。

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