最近、水素エネルギーについてニュースなどで目にすることも多くなってきたようです。燃料電池車(東京オリンピックでも使用されていました)、エネファーム(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)、水素エンジン(トヨタが24時間耐久レースに出場)、東京オリンピックの聖火は史上初、水素が燃料として使われていました。そこで「水素エネルギーの仕組みと動向がよーくわかる本」今井雅人著を読んでみました。水素エネルギーの技術開発は日本では1970年台から進められていて、最近、急に研究が始まったわけではなくて、地道に続けてきた技術開発が成熟してきてようやく実用化段階に至ったと言えるようです。なんと言っても水素は燃焼しても水に戻るだけであり、CO2や大気汚染物質を排出しないクリーンなエネルギーなので、地球温暖化に歯止めをかけるため脱炭素化を進めるために重要な役割を期待されています。本の中では、最新の研究について数多く挙げられていて、光触媒の水分解反応による水素生成、水の熱分解による水素生成、有機ハイドライト法による常温の水素貯蔵・輸送。また水素による発電の研究もだいぶ進んでいるようで、天然ガスと水素を混合して発電する混焼発電の技術開発は成功しているのですが、水素のみで発電する専焼発電も将来的には期待されます、しかしまだ技術開発の余地が大きく残されているそうです。ガスタービンを用いた水素専焼発電では、一定の技術的なハードルをクリアすることが前提ですが、従来のガスタービンと同様に発電の規模を拡大することが可能とのことです。これが導入されれば水素の大規模な需要が生まれ、水素のコストを下げることにつながり良い循環が生まれることが期待されます。今井さんは「再生可能エネルギーと水素エネルギーを両輪に脱炭素社会へ」として、“CO2排出量がゼロの脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギーと水素エネルギーを両輪とした電気エネルギーインフラを新しく構築してゆく必要があります。再生可能エネルギーと水素エネルギーは切り離して考えるのではなく、両方とも自立・分散型のエネルギーシステムを構成する要素として捉えることがポイントとなります”と書かれています。今後、水素エネルギーが重要になってくるとは思っていたのですが、その時は思ったよりも早く来るのかもしれません。エネルギー問題に興味のある方はぜひ読んでみてください。