「147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官」河瀬七緒著、これは死体の周りの虫から謎解きをするという、法医昆虫学者が登場する警察ミステリーです。作者の河瀬七緒さんは1970年生まれの福島県出身で、もともと子供服をデザインするフリーデザイナーをされていたそうですが、2007年から小説の執筆に取り組んでいる推理作家です。2011年にデビュー作「よろずのことに気をつけろ」で第57回江戸川乱歩賞を受賞しています。子供服のデザイナーをされていた方が、推理作家としてデビューすることも驚きですが、昆虫学者が登場して虫に焦点を当てることから、犯行を緻密に分析してゆくというある種ものすごくマニアックな内容になっており、もともと河瀬さんが虫にものすごく興味があったのか?小さい頃から本当は昆虫学者になりたかったとか?知り合いに昆虫学者がいただとか、よほど熱心に取材や調査を行わないと書けないような内容になっています。特に法医昆虫学者が昆虫に興味を持ったきっかけなどは、実際にいた人物のエピソードではないかと思うほど、なるほどなあと納得してしまいました。解剖の現場や死体に群がる虫の描写があるので食事の前後に読むことはお勧めできないのですが、今までにないタイプの推理小説で、面白く読ませていただきました。個人的には主人公の一人の刑事が蜘蛛嫌いなのは共感できます。しかも「大きさによる・・・」小さい蜘蛛は問題ないが大きいやつはダメ。・・・同感です。小説内の描写では、蜘蛛恐怖症は家族間で伝染することが多いそうですが、家族に蜘蛛恐怖症はいなかったと思うのでなぜ自分が蜘蛛嫌いになったかは謎です。法医昆虫学捜査官はすでにシリーズ化されていて現在は2作目の「シンクロニシティ」を読んでいるところです。