「ノマドランド」は2021年公開、クロエ・ジャオ監督のアメリカ映画です。2017年にジェシカ・ブルーダーさんが発表したノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」を原作としています。この作品はやたら批評家の評価が高く、ロッテントマトでは9.28点がついていて、アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞しています。ちなみにクロエ・ジャオ監督は非白人女性として初めての監督賞、主演女優のフランシス・マクドーマンドさんは同一作品で制作者と出演者の両方として初めてアカデミー賞を受賞だそうです。その他にも山ほど受賞していて、作品賞だけでもゴールデングローブ賞、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、全米映画批評家協会賞、英国アカデミー賞等々。
だいたいのあらすじは、『2008年、リーマンショックの経済危機により、影響は現役世代だけでなく高齢者にも降りかかり、多くの者が家を手放すこととなった。家を失った彼/彼女らは自家用車で寝泊まりし、安い時給で過酷な肉体労働に従事するほかなかったが、働く口を求めて全米各地を動き回っていた。そして主人公のファーン(フランシス・マクドーマンド)もその一人であった。自家用車に最低限の家財道具を積み込み、日雇いの職を求めて全米各地を放浪の旅に出るファーン、その過程で同じ境遇の人々と交流を深めていくのだった。』と言ったところでしょうか。フランシス・マクドーマンドとデヴィッド・ストラザーンを除いてプロの役者を起用せず、実際に車上生活を送っている人々が起用されて撮られているのでドキュメンタリー映画を見ているようです。(半分ドキュメンタリーかもしれません)
自分も徐々に高齢者に近づいている世代で、明日は我が身かと思うと、リアルな現実からくるズッシリと重い空気感がひしひしと伝わってくるというか・・・・心に刺さります・・・。経済的な苦境と忍び寄る老いといった状況下でも、自分は自尊心と互助の精神を持ち続けられるのだろうか?・・・考えさせられました。