ザ・ベスト・オブ・エネミーズ〜価値ある戦い〜

2021年05月28日 17:04

「ザ・ベスト・オブ・エネミーズ」は2019年に公開された実話を元にしたアメリカ映画です(ちなみに日本では劇場公開されていませんが、i-Tunes Store で観ることができます)。1971年、ノースカロライナ州ダーラム。白人学校と黒人学校の統合をめぐる討論会で、公民権運動家アン・アトウォーターと白人至上主義団体の幹部C・P・エリスが共同議長を務めることに。誰もがすれ違いに終わると思っていたが、互いの家庭環境に共通点を持つ二人は、正反対の立場でありながらも奇妙な友情を育んでいく・・・・。それが二人の人生だけでなく、ダーラムの未来をも大きく変えることとなるのであった。詳しい内容については、ぜひいい映画なのでご覧になってください(ロッテントマトではなぜか低評価のようですが)。

映画の中で行われるシャレットという形式の討論会は、真っ向から対立する意見を市民が議論して問題点を洗い出し、最終的に市民がここで出した結論を市議会が承認するという、民主主義のお手本のようなシステムが採用されています。考え方の違う対立したもの同士が共存するためにはどうすべきか?、相手の考え方を知ることであり、相手の生きてきた背景を知ることであり、相容れないもの同士が排除しあっていては先に進まないのではないか?という現在にも通じる問題を提起してくれています。

映画では垣根をこえた人と人との繋がりがあり、救われるラストシーンとなっていますが、しかしなかなか綺麗事では済まず、自分たちの主張を通すため、票を集めるため、嫌がらせや脅迫をなどの手を使ってしまう当時の闇の部分も描かれています(現実はもっとドロドロしていて深刻だったのかもしれません)。C・P・エリスが最後に、人生の大転換には必ず代償が伴うと語っていたことが印象的でした。

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