大船で生まれた私が、大船といえば?と言われたら「松竹大船撮影所」と「大船観音」と昔はだいたい答えていました。大船は元々、鎌倉郡小坂村と呼ばれた地域で(私は小坂小学校出身です)1933年に大船町となり、1948年に鎌倉市に編入されています。大船の由来は、古来湿地帯に丘が点在する地域であり、語源としては大きな船が入ったため「大船」ですとか、粟を積んだ船が出入りしたため「粟船」アワフネから転じてオオフナ「大船」となったなど諸説あるようです。ちなみに現在は閉鎖されて、鎌倉女子大になっていますが、松竹大船撮影所があった辺りにはもともと大船競馬場がなぜかあったみたいです。
なんと言っても「大船観音」は地元の人間でもあまり詳しいことは知らず、よく目にしていてもなぜ観音像があそこにあるのかは謎でした。丘の上にのっかているような胸像なので胴体は土の中に埋まっているという都市伝説まであるらしい。大船観音があるのは大船観音寺という曹洞宗のお寺です。もともと大船観音は1920年に、地元有志の発起により、護国観音として築造が開始され、1934年には輪郭が出来上がっていたが、戦局の悪化によって、築造は中断。その後20年以上放置されます。第二次大戦後、安藤正純氏、曹洞宗管長の高階瓏仙禅師や東京急行電鉄の初代社長の五島慶太氏によって財団法人大船観音協会が設立されて、1960年に完成しています。その後財団法人大船観音協会は解散して1981年に曹洞宗の包括下にある大船観音時として宗教法人となったそうです。
これもなぜかはよくわかりませんが観音像を参拝しようと階段を登っていくと、両側に奉納された灯籠にやたら外国籍の方の名前が多いことに気づきます。特に東南アジア(華僑、上座部仏教信者)からの参拝客が多いようで1999年から台湾やスリランカなどから僧を招いて法要なども行われているそうです。上座部仏教は最古の仏教の宗派で南伝仏教とも呼ばれ、スリランカ、ミャンマー、タイ、カンボジア、ラオスでは主要な宗教です。本日のニュースで軍政に抗議した在日ミャンマー外交官が、パスポートを無効にされたとのニュースが出ていました。ミャンマーでは現在、クーデターを起こした国軍による市民弾圧が続いていますが、1日も早く弾圧を中止した上で、国際社会に開かれた形での話し合いが行われることを願っています。