最近はあまり鍼灸師と関係ない内容のブログが続いていたので、今回は一応仕事に関連している内容の本も読んでいて勉強していることを書いてみたいと思います。
森岡周博士の書いた「高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション」と言う本を読みました。その中でも興味深いところがあったのですが、“行為主体感(行為やそれによって引き起こされる外部世界の結果を自己に帰属できる意識)という概念をどの様に変調させるかが、リハビリテーションに応用するためには必要となってくる。”とあるのですが「行為主体感」の生成には3つのメカニズムが存在し、その一つにコンパレータモデルというものがあります。
コンパレータモデルとは
【運動指令により運動が実行されることで、感覚運動システムが作動し、それに伴い感覚フィードバックが生じる。この際、視覚や体性感覚が脳内に情報としてフィードバックされる。一方、運動指令が起きると運動指令のコピー(遠心性コピー)が作られ、予測される感覚フィードバック(随伴反射)が生まれる。この予測と実際の感覚フィードバック間、あるいは視覚と体性感覚の情報間に食い違い(不一致)が起こると身体性の変容が生じる。一方、一致すれば身体性(行為主体感など)を生み出す。】
こうしたことは日常にも感じられることで、例えば小学校の運動会で父兄参加のお父さんが走っているうちに、足が空回りをして転んでいることがありますが、自分の感覚と足の動きが一致せず自分の足ではない様な感覚に陥っているところなどはこうした感覚に近いのではないかと思われます。
さらに社会生活の中でもこのコンパレータモデルに基づいているのではないかと考えられる「ソマティック・マーカー仮説」という身体性と意思決定の関係についての仮説が提唱されています(身体に存在している臓器がマーカーとなり意識決定をすることを、ギャンブル課題を行うことによって提唱された)。簡単にいうと自分の脳が自覚するよりも先に行動(意思決定)が変わっているということです。
なかなか興味深いです・・・・意思決定とは何か?・・・・コンパレータモデル以外にも社会生活における行為主体性については2つのメカニズムがあり、それを含めていろいろ考えてみたいと思いますが、さらにこれから学ばなければならないことがまだまだたくさんあるようです。