「和」の呼吸

2021年01月21日 16:02

先日、忘れ物についてこのブログで書きましたが、もともとおっちょこちょいで何か不測の事態が起こるとすぐテンパってしまいアタフタするので、自分でも(他人からも言われるのですが)もう少し落ち着いて何事にも動じないような心構えのようなものを持ちたいと思っています。よく緊張を和らげるために深呼吸などをしますが、心と体の関係で呼吸はとても深く関係しているのではないかと考えています。気持ちが焦ったり緊張したりすると、心拍数が上がり、手に汗をかいて、呼吸が浅くなったりします。心拍数や汗はなかなか自分でコントロールすることは難しいと思うのですが、呼吸は訓練すればコントロールすることが出来るとされています。

そこで今回は能楽師の安田登さんが書いた、脳に学ぶ「和」の呼吸法を読んでみました。謡や舞は、「ゆっくりと繰り返される、リズミカルな深い呼吸」、すなわち「反復律動性の呼吸」によってなされています。「反復律動性の呼吸」にはストレス(不安や恐怖など)をそのままに保ちながら、それを適切なリズムに整えることによって、行動エネルギーに変換させる効果があるそうです。

一部内容を抜粋するとー 能の謡(うたい)は、ゆったりとした大きな呼吸で謡われ、しかも七五調の反復律動を作ります。さらにその反復される律動、すなわち拍子を作るのは、いわゆるリズムではなく呼吸です。リズムである拍子も呼吸でとるという、能はまさに呼吸のための音楽と言えます。
さらに、謡(歌)の発声の重要性についても触れています。能やオペラではマイクを使いません。それでも多くの観客に届く声、それが「歌」です。無意識にかけている心のブレーキを外す声、それは強烈な響きを持った声、すなわち本来の意味での「歌」なのです。そして、それはもともと神に届けるための声であり、自分自身を超えるための声でした。つまり強烈な響きを持った声は大きな呼吸が作り、その大きな声によって呼吸筋である横隔膜はより活性化され、さらに大きな呼吸、大きな声となって好循環を生み、体というよりもむしろ心に働きかけて私たちが無意識にかけているブレーキを外し、ストレスから逃れるのではなく、そのまま全て行動するエネルギーに変換してしまう循環を作り出すことができるのではないかと考察しています。

ストレスはなかったことにしようとしても難しい、ならば元からあるストレスを消し去ろうとせず方向を変えて行動のエネルギーに変えてしまおう・・・という興味深い発想だと思います、日本的というか東洋医学的な発想ならではないかと感じました。・・おっちょこちょいが少しでも改善できるようにこの発想を見習いたい・・・です。

本の中には白隠禅師の内観の秘法や呼吸法のトレーニング法なども書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

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