あいまいな会話はなぜ成立するのか

2021年01月08日 08:50

Aさん「今日は傘持って行ったほうがいいかな?」Bさん「天気予報で80%って言ってたよ」

夫「あれは何処へ入れたかな?妻「いつものところでしょ?」

なんとなく曖昧な会話でもだいたい通じるものですよね?考えてみれば不思議なことだな・・と思っていたので「あいまいな会話はなぜ成立するのか」時本慎吾 理論言語学博士著を読んでみました。本の中ではなぜ言葉になっていない意図を推測できるのか?なぜ推測はほどほどでおさまるのか?などを代表的理論から、脳科学に基づく新しい成果まで紹介されています。非常に単純に見える会話でもかなり複雑な脳の処理が行われているようで、含意の理解には推論(アブダクション)と文脈の検索は関係していることは分かっていても、はっきりと区別ができないそうで、他者の意図の理解と他者の視点取得は関係していて、視点取得の心の働きは時間の認識(特に過去の記憶に関係している様子)と関わっているというあたりまではわかってきているようです。さらに最近はミラーニューロンという他者の行動に反応する神経細胞(他者の視点を脳内に再現するような神経細胞)が発見されていますが、言語に関して言えば、言語コミニュケーションに関係するN400という脳波が見つかっていて、これは隣に座っている他者の気配が脳に影響しているとしか考えられない結果が実験によって示されていて、仕組みはまだよくわかっていないそうです(うまく説明できませんが、詳しくは本を読んでください)。

薬剤師として鍼灸師として仕事をしている時は特に、何気ない会話は大切なのだと実感していましたが、一人ではなく相手がいて初めて成立する(コミニュケーションとしての)“会話”とは・・・・。これはかなり奥が深そうなのでさらに本を数冊読んでじっくり考えてみたいと思います。

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