池田清彦博士の「本当のことを言ってはいけない」を読みました。本の題名を見て読んでみようと思うことは多いのですが、この本も題名が気になって読んでみました。日本では言論の自由が保障されていて事実この本も出版されているので、“言ってはいけないこと”が書いてあるわけではないのですが、池田博士独特の視点で、普段あまり深く考えず(疑問に思わず)見過ごしていることに違った見方を与えてくれます。難しい内容ではなく“なるほどそういった見方もあるのか”といった感じで読むことができるのでおすすめです。「生と死の意味について」の項では物事に全て意味があるは妄想であるとし、働きアリと働かないアリなどの例をあげて、人は一見意味のないように見えるものはなんとか意味を見つけようとするが、あるもんはあるんだからいいじゃねえか・・存在するものに意味がなければならないのか、それがそもそもわからない。「AIと私たち」の項ではAIは正しい選択肢を提示することはできない。というよりもむしろ、未来に正しい選択肢などないのだ。人が生きるということは、AIに限らず、他者の提示した選択肢に従うのではなく、自分の意思で選択肢を選ぶことにあるのだから。過去のデーターなど無視して出鱈目な決定を下すのが、人間が心を持っている所以だとすれば、AIには心は宿っていないのではないかと私は思う。など心に残ったフレーズがそれぞれの項目にありました(アンダーラインを引きたいくらいなのですが、図書館で借りた本でしたので残念です)。
特に、物事に全て意味があると考えるのは意味がないとの見方は考えさせられました。これについてはお酒好きの池田博士にならってお酒でも飲みながら改めて考えてみたいと思います。