社会心理学者のクロード・スティール博士による「ステレオタイプの科学」という本を読みました。
人をある種のカテゴリーで見る固定観念、鋳型のことを「ステレオタイプ」といい、この本の中では「ステレオタイプ」と人間のパフォーマンスの関係を「ステレオタイプの脅威」として紐解いていく内容です。周囲からステレオタイプに基づく目で見られることを恐れ、その恐れに気を取られているうちに、実際にパフォーマンスが低下し、恐れていた通りのステレオタイプをむしろ確証してしまうという現象について、科学的に証明しています。
その中で注目すべき点は、「偏見」(否定的、嫌悪的、敵対的)は感情、「差別」(偏見に基づいた)は行動、「ステレオタイプの脅威」は単なる認知であることで、周りからの偏見や差別がなかったとしても本人が周りからどう思われるかを恐れるだけで「ステレオタイプの脅威」の影響は出てしまうことにある。この本の中では、「女性は数字に弱い」や「黒人は知的レベルが低い」などが例として挙げられていますが、博士は、“世界中誰もがなんらかの形で、日々「ステレオタイプの脅威」を経験している。それは霧のように、人についてまわり、自力で振り払うのは難しい”と語っています。アメリカでは偏見や差別を持っていると思われたくないストレスから、自分に合った文化圏を探して移住する分断が以前より進んでいるといいます。これに対して、些細な発言を捉えて偏見や差別のイメージでレッテルを貼られる心配を取り除く必要があり、それには対話・会話行う際に「これは学習の機会である」と考え、ある集団についてネガティブな言動をとっても、自分はそれによって評価されることはないと信頼できる必要を説いています。
日本おいても偏見や差別は少なくなっているように思うのですが分断はなぜか進んでいるような気がします、私も「ステレオタイプの脅威」については常に頭に入れておきながら、他人の発言を聞くように心がけたいと思います。
ぜひ興味のある方は読んでみてくださいおすすめです。