近くの川で鴨を見たので、近所の方に聞いてみました。そこの川のはほぼ毎年(来ない年もあるそうですが)カルガモがやってくるそうで、今年は6羽の雛を連れていたそうです。今はもうどこかへ引っ越してしまったようですが、少し離れたところにある川には鮎や蛍が戻ってきている話も聞きますし、最近の川は自然を取り戻しているように感じています。昭和40年代・50年代は水質汚染が甚だしく、私が子供の頃は川がみるみるうちにドブ川と化してゆきました。その川が自然を取り戻してきているとしたら、どこかに理由となる転換点があったのだろうと思って、「大地の川」関 正和著(1994年)を読んでみました。関さんは旧建設省大臣官房付の官僚の方で、がん闘病中にこの「大地の川」を執筆されています。この本の中には、【近年、人々は物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求め、自然への回帰と、ゆとりとうるおいのある生活を志向している。そのためには、今後ふたたび流域を社会経済文化の基盤にすえ、「水文化」を軸とした国造りを目指す必要がある。それぞれの流域ごとに、のびやかな社会を作り、特徴のある水文化を再興することによって、魅力ある地域文化を再興する必要がある。そのためには再び流域の自然と共生し、流域の循環の中に、今一度、生活を組み込む必要がある。もとよりこれは単なる回帰主義ではない。ロマンに満ちた我が国の伝統的な文化と、明治以降に発展した科学技術に裏打ちされた現実主義との高度な融合により、それは実現されなければならない。】と書かれています。やっぱり「人」なんだなあ・・・と思います。何かの流れが変わる・・・今までの方向性が変わる転換点というのは、知識や経験と積んでいる「人」、その人の思いが多くの人の心に響き、賛同者が増えていくことで起こることなのだと感じます。関さんも【造園屋さんや、建築家さんたちのノウハウは十分学ばなくてはいけない、しかし寄せ集め人間では、うまくいかないのであり、(川というものはもともと非常に総合的なもので)川には川のデザイナーを独自に育てなくてはならない】と人材育成の重要性について触れています。
こうした仕事はAIにできるとは思いません、ぜひ次代を担う若い方々にはオススメです。「思い」を込めた未来像は世の中を変えるかもしれません。