村上春樹さんの一人称単数を読みました。8作からなる短編小説集なのですが、久々に読む村上春樹さんの小説で、面白く読ませてもらいました。8作それぞれ村上さんらしい作品あり、村上さん自身のヤクルトスワローズ愛を語ったものありなのですが、私にとって興味をそそられる作品が「品川猿」と本のタイトルにもなっている「一人称単数」です。
内容はぜひ本を読んでいただきたいのですが、読後感?というか余韻?というか今まで村上さんの作品を読んであまり感じたことのない感覚があったので、不思議な気分を味わうことができました。例えば「一人称単数」ですが、なぜか読んだ後小泉八雲の「雪女」を思い出してしまい、これは日本古来の妖怪談に通じるものがあるのかな?と思って「雪女」を読み返してみましたが、それほど内容が近いわけでもなく、読後感が同じわけでもないのですが、何か底の深いところでつながっているような流れのようなものを感じました。数多くの言語に翻訳されていて、世界中で読まれている村上作品はどちらかというと、ウエットな日本古来の妖怪談とは遠いところにあると思っていたのですが、もしかするとどこかで交差するところがあるのかもしれません。
もう一つの作品「品川猿」ですがこちらは、まんが日本昔話や落語にこんな話なかったけな?というような話で、今回の8作品では一番好きです。市原悦子さんと常田富士男のナレーションで日本昔話も良いですが、私ならオチをつけて落語にするとおもしろいのではと思っています。
例えば・・・・・僕が部屋で一人テレビをつけていると、「私は人の名前を盗むことができるんです」という声がする、どうやら超能力の特集らしい・・・・画面を見ると間寛平さんが出演しているオチとかどうでしょうか?。
または僕が部屋でブルックナーの本を読んでいる、かたわらで彼女がテレビをみている、「この前音楽の趣味が同じ猿と話をしたんだ、僕は9番、猿は7番が好きらしいんだ」「何それ?私も9番は好きだけど猿が聞くわけないでしょ・・・・・・?」話の流れで僕は彼女に猿と出会った出来事の全てを話すことになる。その話に興味を持った彼女と僕はまた同じ温泉に泊まりに行くこととなるのだが、猿は一向に現れない、僕は内心彼女の名前が盗まれないか心配だったのだがほっとする、「おかしいなあ?ブルックナーの話なら乗ってくると思ったのにな・・・・」「あら私の好きな9番はベートーベンよ・・・・」こんなオチはどうでしょうか?
村上春樹さん怒らないでください、先に謝っておきます・・・・申し訳ありませんでした。一人称単数を読んだ方は分かってもらえると思います。