「こつ」と「スランプ」の研究、諏訪正樹著を読みました。著者の諏訪正樹博士は、慶應義塾大学環境情報部教授。工学博士。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。(株)日立製作所基礎研究所、シドニー大学建築デザイン学科主任研究員、中京大学情報理工学部教授などを経て現職。身体知の学び、コミュニケーションのデザインを専門領域とする。自ら野球選手として打撃スキルを磨かんとする実践(フィールドに出た構成的研究)から、学び理論「からだメタ認知」を提唱し、身体知を研究してきた。共著に「知のデザインー自分ごととして考えよう」「一人称研究のすすめー知能研究の新しい潮流」など。(表紙裏著者紹介より)
この本は、人がうまくできるとき、あるいは突然できなくなるときに、身体の内側でどんな“質の変化“が起きているかを探る本である。「こつ」とは、身体の使い方・注意の置き方・環境との関係が一つの方向性にまとまり、動作が軽く自然になる状態で、本人が言葉として表現できる。一方「スランプ」は、その方向がズレ、注意が散り、環境との関係が噛み合わず、動作が重くなり、何が悪いかわからなくなる状態である。
著者は、これらの数値では捉えられず、身体内部の質的変化として扱う必要があるとする。そのため、一人称研究ー身体の感覚を言語化し、認知をずらし、行動を変え、フィードバックを得るという循環ーが不可欠になる。つまり「こつ」も「スランプ」も、身体・意識・ことばの循環の中で生成され、修正される現象であり、このプロセスを繰り返すことで方向性は洗練されていく。(COPILOT作内容紹介)
「こつ」や「スランプ」の研究はたくさん行われているので真新しいものではないと思いますが、諏訪博士は言語化することを重視し、そこをスタートとして、メタ認知(自己分析)、行動と繋げていくプロセスにこだわったところはなるほどなあと思いました。一人称研究は他にもリハビリや腰痛、首の痛みなどの慢性痛治療の現場では応用が可能ではないかと感じています。ぜひ医療の現場でも一人称研究が取り入れられていくことを期待しています。