「40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた」 デイヴィッド・J・リンデン博士著というやたら題名が長い本を読んでいたら、AIについて全く正反対の見解があって興味深かったので書きたいと思います。
まず1つ目 デューク大学 ミゲル・A・L・ニコレリス博士によると、私たちの脳はユニバーサル・チューリングマシンでは決して処理できない数々の計算不能な機能をこなしていて、ポイントはアナログとデジタルの両方の処理を日常的な作業の中で組み合わせているという点にある。こうしたことから脳の鍵となる機能は、普通のデジタルコンピューターでは、どれほど複雑なマシンであっても計算不能だということである。私たちの脳は、分子レベル、細胞レベル、回路レベルで常時情報を交換しあっている。そうした活動の中で、非常に多くのパラメーターが持続的、瞬間的に更新されていくため、このプロセスの規模は言葉にできないほど巨大になる。こうした複雑さがあるからこそ、人間の脳は人間のあり方を規定する様々な属性を生み出すことができる。芸術的表現や科学的成果、倫理的、宗教的信念を含んだ文化全体、これらは、私たちの中枢神経系を司る神経生物学的あり方がもたらした計算不能な現実化の事例のほんの一部である。
2つ目 テキサス大学オースティン校 マイケル・D・モーク博士によると、神経科学者はすでに脳の様々な部分の働きをシュミレーションするコンピュータープログラムを開発している。本物のニューロンの入力/出力規制を実装したプログラムも作っている。これらのプログラムは、コンピューターのメモリの中の別の部分に置かれている。脳のシステムをシュミレーションするには、種類ごとのニューロンのコピーを取っておく専用のメモリをたくさん置いておく必要がある。これらのニューロン間の接続性は、そのニューロンが接続する相手先のニューロンの識別子をその部分のメモリに保存することにより実現されている。こうして、人工ニューロンがひとつ出力するたびに、それより下流のニューロンを保持するメモリ部分に情報がもたらされ、これらのニューロンの活動の処理が更新される。人工の心を生み出せるようになるのは、まだ遠い先のことになるだろう。しかし、量子重力理論や銀河への宇宙旅行とは異なり、人工の心に向かう道には理論的な障壁は存在しないのである。
全く正反対の意見が神経科学者から寄せられています、ご覧になった方はどう感じられたでしょうか?これだけ人間の脳について、わかっていないことが多いとも言えると思います。