ファシアについて最近はかなり研究は進んできているようで、以前の単なる隙間を埋めている結合組織だとか、臓器を覆って固定する膜という認識から変化して、その機能や感覚器としての役割についても注目を集めていることは間違いありません。「人の生きた筋膜の構造」Jean-Claude Guimberteru,Colin Armstrong著「ファッシャルリリーステクニック」James Earls & Thomas Myers著 「ファシア」David Lesondak著の3冊を読んでみて、鍼灸マッサージ師もこれからは施術時に骨格、筋肉、関節とさらにファシアについても学んでいかなければならないと痛感しました。
ファシアの解剖学的定義は2015年に「筋肉とその他の臓器をつなぎ、囲み、分けるために皮下で形成された鞘やシート、あるいは剖出可能な結合組織の集合体である」とされているそうですが、最近は単純に解剖学上の定義だけでなくファシアはシステムとして定義されていることもあり「身体の中で、柔らかく、コラーゲンを含み、緩くて密な繊維性結合組織の3次元連続体で構成されている。全身に広がって取り囲み、織り込み、相互に繋ぎ、身体に機能的な構造を与え、すべての身体システムが統合された方法で作用するための土台となるもの」とされています。
ファシアについてはある解剖学の教授が“柔らかい骨格である”と的を得た表現をされたそうですが、体全体に網の目のように張り巡らされた、ひとまとまりの構造体である事を上手く表現しています。身体の動き(動作)は筋肉の一連の動きによって力が伝達し協調し拮抗することによって行われますがファシアはこうした相互作用に重要な働きをしているという見解が増えてきており、ある場所の筋収縮が、ずっと離れた場所でも感じられたり、コリや痛みの反応が離れたところで現れるといった、実感に合ったものであることは間違い無いと思います(これは鍼灸で言われている経絡や経穴(ツボ)といったものとも合致しています)。
また筋膜には痛覚の感覚受容器が多く筋肉の中でも痛みのセンサーの役割があると考えられており、筋膜同士が機能的に結びついている筋膜連鎖によって、ある筋膜に痛みの発生源が生じると筋膜連鎖上を伝わり他の筋肉の動きを制限してしまうこともわかってきています。つまりは施術時に全身のファシアシステムを意識しなければならないことは我々の課題になってくると思います。
今回は長くなりましたのでここまでになりますが、またファシアⅣを書くことができればと思います。(痛みについては別の機会にブログに書ければと思っています)