寺田寅彦

2020年04月18日 08:46

寺田寅彦さんをご存知でしょうか?戦前の物理学者で結晶解析や金平糖の研究で有名です。その一方で熊本の第五高等学校で夏目漱石に出会い最古参の弟子となっており、科学と文学を調和させた随筆を数多く残しています。夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場する水島寒月や「三四郎」の野々宮宗八は寺田寅彦さんがモデルと言われています。このブログを書き始めるにあたって“寺田寅彦さんの随筆のような文章を書けるようになったら良いな”と思って参考にさせていただいています(まだ足元にも及びませんが・・・・)。

新型コロナウイルスによるこうした社会状況の中でどの様な心構えを持つべきか?昔の人はどう考えたのだろう?。スペイン風邪が1918年だったこともあって寺田寅彦さんが何か随筆に書いていないかと思って随筆全集をパラパラめくって(ネット上ですが)探してみました。残念ながらスペイン風邪についての随筆は見つけられなかったのですが、こうした考え方は現在の状況の中でも必要な考え方なのではないかと思ったので2つ紹介したいと思います。

まず1922年中央公論の随筆「思考実験」に書いているものですが、日刊新聞を全廃したらどうなるかという思考実験をするという内容を書いています、これは単に日刊新聞をなくしてしまえば良いという話ではなくて、何か問題点があれば本当にそれは必要なのか?その問題点をどう改善すれば良いのか、代替案はないのか?など思考実験という中で、ある条件を与えるといろんな角度から物事を見ることが出来ると論じています。

また1914年(出典不明)の随筆「科学上における権威の価値と弊害」の中で科学者には物事を批判的にみるつむじ曲がりな性質が必要であると説いています。こうした随筆を自分なりに考え、先の見えない状況では色々な角度で物事を見て判断をする様に、また批判的精神を持つことで情報を鵜呑みにしてはいけないのだという寺田寅彦さんの過去からのメッセージだと思って読みました。不要不急の外出が制限されている中、随筆集などを読んでみるのはいかがでしょうか、寺田寅彦全集はネット上で無料で読めると思いますのでおすすめです。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)