「疲労とはなにか」BLUE BACKS 近藤一博博士著を読みました。近藤博士は東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授であり、ヒトヘルペスウイルス6(HHVー6)の潜伏感染・再活性化機構を解明したほか、生理的疲労のメカニズムの解明、うつ病の原因遺伝子SITHー1の発見、新型コロナ後遺症の原因の究明など多くの業績を上げている。1985年大阪大学医学部卒業、1991年大阪大学微生物病研究所助手、1993年〜1995年スタンフォード大学留学、1996年大阪大学大学院医学系研究科・微生物学講座助教授、2003年より現職。(表紙裏の著者紹介より)
この本は、「疲労についての研究は日本が世界で最も進んでいる・・」から始まります。欧米では疲れているのに頑張って働くことは、効率の悪い愚かな行為だとされている反面、日本では、過労や疲労は社会的大問題(特に英語でもKaroushiで通用する“過労死“)として広く認識されており、疲れているいるのに無理をして働いている人が病気になったり過労死したりするのを防ぐことは、とても重要な問題だと考えられています。もともと微生物学が専門であり、ヒトヘルペスウイルス6(HHVー1)の専門家である博士が、昔から言われている「疲れるとへルペスがでる」という現象、いわゆる口唇ヘルペス(単純ヘルペス1型、風邪の華や熱の華などとも言われる)から、この現象を疲労の研究に利用できないものか?と考え、そこから「疲労」「うつ病」「新型コロナ後遺症」など地道な研究結果をわかりやすく解説して、そのメカニズムについて一つ一つ明らかにしてくれます。疲労についての驚くべき実像を解説してくれる興味深い一冊です。
一般社団法人リカバリー協会が行った「日本の疲労状況2023」では「疲れている人」は約8割に上り7234.4万人、「元気な人」は1985万人で、2021年の2063万人と比べ、78.4万人減少していることがわかったそうです。疲労を感じたことのない人は居ないと思うのですが、考えてみれば、“疲労“も“痛み“などと同じで生体に備わったアラームなので単純に抑制すれば良いというものではなく。やはりリカバリーが大切で、うまく付き合っていくしかないようです。
「草臥亭(くたびれて) 宿かる比や 藤の花」 松尾芭蕉
先日のブログにも書きましたが、松尾芭蕉の有名な俳句が刻まれた句碑が藤沢の白旗神社にはあります、芭蕉さんもおそらくかなり疲れてたんでしょうねえ・・・・。