両立思考

2024年02月22日 14:49

「両立思考」ウェンディ・スミス、マリアンヌ・ルイス著を読みました。著者のウェンディ・スミス博士(組織行動学博士)は、デラウエア大学アルフレッド・レーナー・カレッジ・オブ・アンド・エコノミクスの経営学教授で、同大学の女性リーダーシップ・イニシチアブのファカルティ・ディレクターを務めている。マリアンヌ・ルイス博士(組織理論博士)は、シンシナティ大学リンドナー・カレッジ・オブ・ビジネスの経営学教授であり、研究科長を務めている。お二人ともパラドキシカルリーダーシップの研究者で、相反する要素を統合し、それらをバランスさせることで、より創造的で持続可能な解決策を見出すことができるという「両立思考」を提唱している方です。

この本は、相反する要素を統合し、それらをバランスさせることで、より創造的で持続可能な解決策を見出すことができるという「両立思考」を提唱しています。両立思考は、二者択一の思考を手放し、多様な価値を実現するという複雑で矛盾した現実に対応するための新たな思考法です。両立思考の理論と実践を紹介し、IBMやLEGO、Unileverなどの事例や、スタートアップやNPOなどの事例を交えて、その効果や方法を解説しています。(チャットGPT作)

この本は基本的には経営学の本なのですが、人生において直面する困難に対処する上でも非常に参考になるのではないかと思います。本の帯(裏側)にこんなことが書いてあるのですが「私たちは不確実性に出会うと、そこから逃げ、もっと確かで安定した根拠を求めたくなる。その結果、明確さを求めていずれかの選択肢を選ぶ欲求に駆られる。 

しかしそれは、多くの混乱を伴ういばらの道である。

競合する要求を成り立たせ、新たなアプローチを見つけるにはどうしたら良いか。

考え方を転換すると、想像力に富み、効果的で、持続可能な解決策を可能にする「両立思考」の糸口が見えてくる。」と書いてあります。

考えてみれば世の中が単純で、裏表、白黒、左右、上下が分かれているのであればわかりやすいのかもしれませんが、だんだん時代を追うごとに複雑になってきて、不確実性が増しているように思います。よくないなあと薄々感じるのですが、複雑になればなるほど(めんどくさくなって)より急いで単純化した選択肢を選びたくなる誘惑に駆られます。私が注目したのは、択一思考の誘惑から目を覚まさせ、複雑さと付き合っていくように刺激してくれるツール、ウェンディ博士が「綱渡型・・一貫した非一貫性」と呼ぶパターンです。それは、重大な択一的選択は行わず、その代わりに対立極の間を常に行ったり来たりするような小さい選択を何度も行う。長い時間をかけて、2つの選択肢を両立できるような、全体像を踏まえたパターンを作るというやや緊張関係を意識するものです。緊張感を持続するために精神力が削られるイメージがありますが、こうしたのりしろを残した選択を繰り返すことは、極端な行き過ぎよりもうまくバランスをとることにつながって、精神的にはむしろプラスだとしています。極端な改革ももちろん必要ですが(一気に世の中が変わってしまうような変革)、地道にコツコツ改善を繰り返しながらじっくり耐えて、大きなチャンスや運が巡ってくるまで待つことも本当に重要なんだなあと感じさせてくれます。包括的に物事を捉えるためにはどうすべきか?・・・考えてみたいと思います。

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