「「感情」は最強の武器である 「情動的知能」という生存戦略」レナード・ムロディナウ著を読みました。レナード・ムロディナウ博士は、物理学者、作家、脚本家として活躍しているアメリカ人です。カルフォルニア大学バークレー校で理論物理学の博士号を取得し、マックス・プランク研究所で(量子力学の理論研究)研究を行った後、カリフォルニア工科大学で教えています。また、ハリウッドでテレビドラマや映画の脚本を手がけたり、スティーブン・ホーキング博士と共著(「ホーキング、宇宙のすべてを語る」等)を書いたりしています。ちなみに「新スタートレック」や「冒険野郎マクガイバー」の脚本数話分を担当されたそうです。
この本は、感情が思考にどのように影響しているか、そして感情を理解することがどのように私たちの幸せや成功につながるかについて、心理学や神経科学の最新の研究をもとに説明している本です。著者は、感情が私たちの判断や決断に大きな役割を果たすこと、感情が私たちの社会的な関係にも重要であること、感情が私たちに幸福感や満足感にも影響することをわかりやすく紹介しています。また、私たちの感情は、私たちの進化や生物学に深く関係していることを示し、感情を理解するためのツールを提供しています。(チャットGPT作)
博士によると、『かつては情動は効果的な思考や決断を脅かすものと信じられていたが、今では、情動の影響を受けないと決断することも、さらには思考することもできないことがわかっている。人類が進化してきた環境と大きく異なる社会では、情動は望ましくない効果をもたらすもあるが、それよりも正しい方向へ導いてくれる場合のほうがはるかに多い。それどころか、もしも情動がなかったらどの方向にも容易には進めないだろう』(はじめにより抜粋)と示されています。
恐れをなしたり、不安になったり、カッとなったり、絶望したり、欲情が抑えきれなくなったりなど的確な判断を邪魔するようなイメージだったり、認知バイアスの本などを読むと、感情は認知バイアスを引き起こしたり強化したりするマイナスのイメージで語られることが多いようですが、最新の研究で情動は、素早く効率的に周囲の環境を把握して(時として無意識下に脳のバックグラウンドが働いて)、必要に応じて反応するのに役立つ。理性的思考への入力(時として合理的判断を導く材料として)となって、多くの場合、より良い決断を導くとされているようで(ここでは感情、情動ともにemotionとしてください)、この本の中は人間の言葉で表せない直感の話やコア・アフェクト、欲求と思考は別物である話など興味深い話が盛りだくさんです。私はどちらかといえばデーター重視派の人間なのですが、これだけ世の中が複雑になってくるとデーターに溺れて判断がつかなくなることもあるのではないかと思います。時には“直感(intuition)““虫の知らせ(premonition)““第六感(sixth sense)“などもなかなかバカにできないのではないでしょうか。最後の最後に残るのは・・・・・自分の心に従うとしたら直感なのかもしれません。