同調圧力

2024年01月25日 17:43

「同調圧力 デモクラシーの社会心理学」キャス・サンスティーン著を読みました。サンスティーン博士は現在ハーバード大学ロースクール教授で、憲法学、行政法、環境法、法哲学、行動経済学など多岐にわたる分野で研究を行っています。2009年から2012年までは、オバマ政権の情報・規制問題局の局長を務めました。博士は多くの著書や論文を発表しており、法と社会の関係について深い洞察を提供しています。その他の著書には、「NUDGE 実践 行動経済学」「インターネットは民主主義の敵か」などがあります。ちなみにスター・ウォーズの大ファンでもあるそうです。

この本では、人間の社会的影響に関する最新の研究をもとに、同調がどのようにして生じるのか、どのような効果をもたらすのか、どのように制御することができるのか、などについて分析しています。同調は、人類の歴史において、文明の発展や宗教の普及、暴力やテロリズムなど、さまざまな現象に関係してきました。同調は、個人の判断や行動に大きな影響を与えるだけでなく、集団の意思決定や民主主義の機能にも重要な役割を果たします。しかし、同調は必ずしも正しい選択や合理的な結果をもたらすとは限らず、同調によって、誤った情報が拡散したり、集団が極端な方向に偏ったり、多様性や創造性が失われたりすることもあります。博士は、同調のメカニズムや影響を理解し、それに対処するための法や制度を考えるための指針を提供してくれることで、同調の力に左右されずに、自分の考えや意見を持ち、それを表現することの重要性を教えてくれます。(チャットGPT作)

この本の本筋からは外れるかもしれませんが、なるほどなあと感じたさスティーン博士の視点がありましたので紹介したいと思います。本文中から抜粋します。ルーズベルト政権の高官であったルーサー・ギューリック博士(ちなみに大阪生まれだそうです)が戦後間もない1948年に行った「第二次世界大戦の行政上の反省点」と言う講義で、(戦時体制、宥和政策、国際連盟などのテーマについてその失敗と対応策について)民主主義諸国の戦争遂行能力と、敵対するファシズム諸国のそれと比較を試みており、合衆国とその同盟諸国は、日独伊よりもはるかに良い成果をあげた。ギューリック博士はこれらの優位が民主主義のそれ自体、とりわけ「民主主義だけが可能にするような見直しや批判」と直接関連があるとした。「全体主義体制では、計画は偏りのある情報を持った少数の人間によって秘密裏に企てられ、独裁者の権威によって実行される」そのような計画は致命的な弱点を内包する可能性が高い。逆に、民主国家は広範な批判や論議を可能とすることで、「数々の災難」を避けられる。・・・中略・・・・独裁国家が戦争でそれほど成功しないのは、独裁国家の方が忠誠心が弱く大衆に信用されないからではなく、民主的過程から生まれる抑制や修正を指導者たちが受けないからである・・・・・・。サンスティーン博士のいう物の見方の多様性についてよく考えてみたいと思います。

本の内容紹介については上記のチャットGPT作の紹介文が非常によくできているので書き足すことはありません、特に同調圧力が高いと言われる日本社会では考えさせられます、ぜひ読んでもらいたいおすすめの一冊です。

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