オペレーション・フィナーレ

2023年05月19日 18:46

Netflixで「オペレーション・フィナーレ」2018年クリス・ワッツ監督を観ました。この作品は、“ホロコーストの実行人“と言われた元ナチス親衛隊将校アドルフ・アヒマンの逃亡生活を追跡し、逮捕へと繋げたイスラエル諜報特務庁(モサド)の諜報員の活躍を描いている、史実に基づいた作品です。

アドルフ・アヒマンとは、ドイツの親衛隊隊員(最終階級は親衛隊中佐)で、ゲシュタポのユダヤ人移送局長官であり、アウシュビッツ強制収容所へのユダヤ人大量輸送に関わっており、「ユダヤ人問題への最終的解決」に関与し、数百万人に及ぶ強制収容所への移送に指揮的役割を担っていました。第二次対戦後はアルゼンチンで逃亡生活を送っていましたが、1960年にイスラエル諜報特務庁(モサド)によってイスラエルに連行され、1961年4月より人道に対する罪や戦争犯罪の責任などを問われて裁判にかけられ、同年12月に有罪、死刑判決が下され、翌年5月に絞首刑に処されています。(ちなみに逃亡生活では、リカルド・クレメントを名乗り、国際赤十字委員会から渡航症の発給を受け、1950年当時、親ドイツのファン・ペロシ政権の下、元ナチス党員を中心としたドイツ人の主な逃亡先となっていたアルゼンチンのブエノスアイレスに船で上陸し、その後近郊に住まいを構え、約10年にわたって工員やウサギの飼育農家など様々な職に就き、ドイツから家族も呼び寄せていました)

アドルフ・アヒマンの逮捕と移送の話であれば、ハラハラ・ドキドキで騙し騙されの、息詰まるスパイものの展開を予想していましたが、モサドの諜報員ピーター・マルキンとアドルフ・アヒマンの人間関係が中心になっている作品ではないかと思います。サインを迫るピーターとそれを拒むアヒマンとのシーンは見どころです。アヒマンは逮捕後に「私の罪は従順だったこと」と語るのですが、魂を売り渡した平凡で従順な男と過去に囚われてしまったモサドの男、この二人の駆け引きやお互いに対する見方には考えさせられます。もちろんハラハラさせられる息詰まる展開もありますので是非ご覧になってみてください。

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