「AGELESS 老いない科学の最前線」を読みました。最近は老眼が進み、人の名前や本の題名などがなかなか思い出せなくなり、歳をとったなあと感じることが多くなり、この手の本を読むことが多くなってきました。著者のアンドリュー・スティール(ちなみにオステオパシーの創始者のアンドリュー・テーラー・スティルではない)博士は計算生物学者(ちなみに計算生物学とは、生物学の問題の解決に計算機科学、応用数学、統計学の手法を応用する学祭研究分野)であり、サイエンスコミュニケーターです。オックスフォード大学で物理学の博士号を取得したのち、「老化」こそが現代最重要の科学的課題と考え、計算生物学に転身。フランシス・クリック研究所で機械学習を用いてDNAを解析し、患者の診療記録から心臓発作を予測する研究に従事。「生物老年学」の最先端をはじめて一般読者向けに詳しく紹介したデビュー作である「AGELESS」は医学界およびエコノミスト誌、ガーディアン誌等のトップメディアで極めて高い評価を獲得した。
この本の内容を簡単に言えば、老化を少しでも遅らせようとする世界トップの研究の最前線を取材し、それによって世の中がどう変わっていくのかを紹介している本です。博士はそれを老化の治療と呼んでします。老は「自然の摂理」ではなく「治療できる障害」であるとし、老化治療は「悪いものの除去」「失われたものの再生」「壊れたものの修復」「リプログラミングによる若返り」の四つであるとしています。最新の研究はこの薬を飲めば寿命が伸びますよ的な怪しいものではなく、「無視できる老化」、つまり何年生きようと、死亡や身体障害、体力低下、病気のリスクが変わらない世界・・・死ぬまで「健康」でいられる世界を実現しようとしています。考えてみれば究極の予防医学です。がん・心疾患・脳血管疾患などでかかる治療費の総額を考えたら、老化治療はコストパフォーマンスは良いのかもしれません。もちろん元気で長生きできたらとは誰もが願っていることだと思います。
詳しい内容は読んでいただきたいのですが、まだほとんどが研究段階であり実現するかどうかは不明です(かなり高い確率で実現できるものもあると思いますが)。こうした治療が実現するまでは、バランス良い食事を心がけ、食べ過ぎず、睡眠を十分にとり、適度な運動をして、備えるしかないようです。