「天地明察」滝田洋二郎監督を観ました。沖方丁による時代小説(第7回本屋大賞受賞)を原作とした2012年の日本映画であり、あらすじはこんな感じです。
まだコペルニクスの地動説が知られていなかった時代の日本に、天体の運行を観察し日本独自の正しい暦を作り出そうと試みた一人の男がいた。時は江戸、4代将軍徳川家綱の治世。一介の棋士(囲碁)ながら会津藩主にして将軍後見役保科正行に目を掛けられる安井算哲(後の渋川春海)は天文・数学にも興味を示す好奇心旺盛な男。その男が日本独自の正しい暦づくりに挑む。それは古来の暦を重んじている朝廷をも敵に回す途方もない一大事業だった。暦を巡る戦いは熾烈を極め、算哲は幾度となく苦境に立たされるのであった。これは江戸時代初期に実在した暦の改革者・安井算哲、和算を完成させた不遇の算術家・関孝和、史上最強の棋士・本因坊道策という「知の巨人」というべき男たちと、江戸幕府の黎明期を支えた保科正行、水戸光圀といった名君たちの物語です。
原作は読んでいるのでだいたいのストーリーは覚えているのですが、だいぶ前のことなのでかなり忘れているところもあって、あらためて新鮮に観ることができました。江戸時代の天文学の話でもあり、天才たちの話でもあり、安井算哲という男の物語でもあり、見応えのある映画です。ぜひ観てもらいたい映画の一つです。来週の11月9日は1872年明治政府が太陽暦を採用した太陽暦採用記念日だそうですが、暦ひとつとってもこうした先人たちの苦労があったのだと考えさせられます。ちなみに来週の11月8日は皆既月食と天王星食が同時に起こるらしく、皆既月食と惑星食が同時に見られるのは極めて珍しい現象で、前回の土星食から442年ぶりになるそうです(残念ながら天王星は約6等星なので肉眼で見える限界ギリギリの明るさのようです)。今回は、東京では皆既月食は19時過ぎくらいから始まるそうなので、先人たちの苦労を思いながら天体ショーを見たいと思っています。