蜜蜂と遠雷

2022年10月28日 18:15

「蜜蜂と遠雷」2019年監督石川優を観ました。恩田陸著の長編小説が原作であり、同作品は第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞しています。原作はまだ読んでいないのでわかりませんが、映画はこんな感じです。「ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選大会に参加する若き4人のピアニストたち。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜は、7年の時を経て再びコンクールへの出場を決意する。音大出身だが現在は楽器店で働くコンクール年齢制限ギリギリの高島明石は、家族の応援を背に最後の挑戦に臨む。名門ジュリアード音楽院在籍中で完璧な演奏技術と感性を併せ持つマサル・C・レビ=アナトールは、優勝候補として注目されている。そして、パリで行われたオーディションに突如現れた謎の少年・風間塵は、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの推薦状を持っており、そのすさまじい演奏で見る者全てを圧倒していく。熱い戦いの中でお互いに刺激しあい、それぞれ葛藤しながらも成長していく4人だったが・・・・・。」

ピアノコンクールとなると馴染がなくて別世界の話のように感じますが、天才とか神童とか言われている人たちも悩みや葛藤、プレッシャーいろいろあるんだろうなと思います。考えてみればいくら天才でも最初に始めるきっかけがなければ才能そのものに気付かないこともあるでしょうし、よき理解者がいなければ続けていくことが困難な場合もあるでしょうし、事故や病気などで断念せざるを得ない場合だってあると思います。天才もどこかに突然一人で誕生するわけではないのでしょう。毎日、毎日、自分を研ぎ澄ましていくためには「続けられる」才能も必要なのかもしれません。私のような音符も読めない素人が言うのもなんなのですが、才能のある音楽家というと、自分の個性を全面に出してガンガン“私はこうだ“と訴えかけてくるようなイメージを持っていたのですが、この作品を観てちょっとイメージが変わったところがあります。「音を外へ連れ出す」音楽・・・・。映画の中で出てくるフレーズですが、一歩引いて全てを受け入れて、聴いている者の世界を広げてくれるような感じがします。物語よりも現実はもっと厳しいのかもしれませんが・・・・それでもあまり馴染みのない世界を見ることができて面白かったです。今度は原作の小説も読んでみたいと思います。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)