地に落ちた信頼

2022年10月14日 17:56

Netflixのドキュメンタリー「地に落ちた信頼 ボーイング737MAX墜落事故」を観ました。内容は、「数ヶ月の間に相次いだ旅客機の墜落事故。安全性よりも利益を優先したと非難されるボーイング社の姿勢が、2度の大惨事に繋がった可能性を調査員が明かす(Netflix内容紹介より)。」といったところです。日本でボーイング機といえば、1985年8月12日、日本航空123便ボーイング747SR−100型の圧力隔壁の不適切修理が原因により、垂直尾翼と補助動力装置が脱落したことによって墜落したことが思い出されます。その後9月6日ボーイングはニューヨークタイムズの報道を受けて圧力隔壁の修理に不備があったことを認め、後部圧力隔壁についての設計変更が行われています。当時はミスを真摯に受け止め2度とこうした悲劇は繰り返してはいけないとボーイング社は考えていたのだろうと思われます。それからだいぶ世の中が変わってしまったと言って仕舞えばそれまでですが、今回の737MAX機での問題は複雑で根が深いようです。設計に問題があり、気づいていながらそれに対する措置を怠り、隠蔽したためにさらに多くの方の命が失われた。ではなぜそうなってしまったのか?もともと安全を第一に考え、エンジニアを尊重し、従業員とより良い関係を築いていたボーイングがなぜそんなことになってしまったのか?企業理念、会社と従業員の関係、株主利益、企業価値、ライバル会社との競争、資本主義の中で企業の責任とは何か?を描いている作品です。特に多くの人の命の関わる製品を送り出しているボーイングのような会社は、どこに対しての責任を重視すべきなのか?株主に対する責任、従業員に対する責任、顧客に対する責任、乗客に対する責任、もちろん全てに責任があるわけですが、第一にどこと向き合うべきなのか?あまりに利益が重視され、お金がお金を生み出し、お金を持っているものが強者の時代では、何か見失っているものがあるのではないかと考えさせられました。

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