人間、経験を積んでだんだん歳を重ねることによって、物事に動じなくなり平穏な心を保ことができるようになると思っていたのですが、なかなか上手くいかないものです。自分でもよくないなあと思っているのですが、未だにちょっとしたことでイライラしてしまいます。養老先生などを見ていると、イライラしたところで物事が好転する訳ではない、なるようにしかならないのだといった、客観的な視点・・・遠くから世の中を眺められるような視点で、物事を捉えられる域に達しているようです。まだまだ修行が足りないと言って仕舞えばそれまでですが、ここまで到達するのはまだまだ先のようです。
そこで今回は、「反応しない練習」草薙龍瞬著を読みました。著者の草薙龍瞬氏は東大法学部卒業後、政策シンクタンクなどで働きながら「生き方」を探求し続け、インド仏教指導僧・佐々木秀嶺師のもとで得度出家。ミャンマー国立仏教大学、タイの僧院に留学。現在、インドで仏教とと共に社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしています。この本では、全ての悩みを根本的に解決できる方法、それを“ムダな反応をしない“こととします。ではそれにはどうしたら良いのか?それを古代インドの賢者“ブッダ“の教え「心のムダな反応を止めることで、いっさいの悩み・苦しみを抜ける方法」に学びます。それは大きく2つからなり①心の反応を見ることと②合理的に考えることからなり、実用的で、合理的な、現代にも通じる「考え方」になっています。2500年以上前のインドでブッダが説いていた、最も古い教え「原始仏教」の知恵に富んだブッダの名言をわかりやすく翻訳して紹介してくれます。
特に第2章良し悪しを判断しない(ムダな判断をしない)には考えさせられました。例えば、最初に書きました〈ちょっとしたことでイライラしてしまう〉これも自分で良し悪しを判断していることになり、こうした「判断」がいかに人を縛り付けることになるかを説いています。これってなかなか難しいことですよね・・・でも確かに心穏やかな人はこうした「判断」を宙に浮かして眺めているようなところがあるなあと思ってました。ブッダも悩みながらこうした考え方に到達したのだと思いますが、淡々と合理的に考えて“今を生きる“ことは難しい・・・・・勉強になりました。