最近、年のせいでしょうか?人の名前とか物の名前がなかなか思い出せないことが多くなった様な気がします。頭の中にその人の顔や物の形は浮かんでいるんですけど、なぜでしょうか?名前が出てこないんです。そのほかにもストーリーは思い出せるんですけど、読んだ本の題名とか・・・見た映画の題名とかも思い出せないことがあります(実は題名を覚えていないのは若い頃からあまり変わっていないのですが)。そんな中、確かインターネットの記事だったと思うのですが、物忘れをするロボットがいるそうです。Talking-bonesというロボットらしいのですが、面白そうなので原著論文を読んでみました。ヒューマンインターフェース学会論文誌Vol.23,No2,2021「子どもたちはときどきモノ忘れするロボット〈Talking-bones〉とどのように関わるのか?ーフィールドにおける調査結果とその考察ー」です。
その論文によるとTalking-bonesは得意げに昔話を語ろうとするも、ときどき大切な言葉をモノ忘れしてしまうロボットなんです。例えば鶴の恩返しの「はたおり」を忘れ「えーと、なんだっけ?」「何を始めたんだっけ?」となり、桃太郎の「もも」をモノ忘れして「何が流れてきたんだっけ?」「も・・・・・?」となってしまう、ストーリーの一部を子供達に補ってもらいながら、子供達と一緒に昔話を語り聞かせてくれるロボットです。つまり子どもたちからの積極的な関わりに支えられるソーシャルなロボットなんです。このTalking-bonesと子どもたちの関係についての詳細は、元論文をぜひ読んでみてください(ネットで検索すれば読めます)。
上記の論文ではロボットー人間のコミュニケーションについてですが、私たちは日常会話の中で、過去に一緒に見た映画の内容や共に体験した出来事など、共通の知識や経験を思い出しながら行う会話を「共同想起対話」と呼ぶそうで、共通の知識や経験などを共に思い出しながら紡ぎ出される会話であり、忘却要素を媒介として、お互いの思考を調整し合う共同行為なのだそうです。これは記憶を共有する過程だけでなく、話し手と聞き手が相互に関わり合って生まれる共同的な行為であり、参与者の関係を進化させる重要な過程の様です。
そう考えるとモノ忘れも悪くはないか・・・・。茂木健一郎先生も思い出そうと脳が活性化する、そのこと自体が脳にいいって言ってましたし。確かに勘違いしてたり、忘れていたところをツッコんでもらえると会話がスッキリとするというか、気持ち良く会話が進む様な気がします。意識的にボケているのではなく天然なのが残念なところですが・・・・。気持ち的にはツッコむよりもボケたいタイプなので、いつの日か人をニヤッとさせる様な上手いボケでツッコまれたいなあ・・・・・・。