誰もが嘘をついている

2022年07月22日 08:15

検索は口ほどに物を言う・・・・「誰もが嘘をついている」(原題EVERYBODY Lies)と言う本を読みました。この本はスタンフォード大学で哲学を専攻し、ハーバード大学で経済学の博士号を取得。グーグルのデータサイエンティスト、ペンシルバニア大学ヴォートン校の客員講師などを経て、現在はニューヨーク・タイムズ寄稿者であるセス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ博士のよって執筆されています。セス博士はこの本の副題“ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性“からも分かる通り、グーグルの検索データなどのビッグデータと既存の調査結果を分析して、人種差別やヘイト、鬱病、児童虐待、性的嗜好など様々な社会現象の真相を探っている方です。

言い間違い、聞き間違いに性的願望が現れるか?競走馬の成績と相関しているたったひとつのデータとは?リベラルも保守も実は同じサイトを見ている?など通説や直感に反する真実が明らかにされていますが、検索履歴からだけでなくデータ分析という大きな括りから、データとは何なのか、何処に隠されているのか、それで何ができるのかなどを分かりやすく解説してくれます。

デジタル自白薬(セス博士は検索履歴のビッグデータをこう呼んでいる)は、人が外見で他人を値踏みしていること、ゲイであることを隠している人がいくらでもいること、レイプを夢想する女性が少なからずいること、アフリカ系アメリカ人への広範な敵意、隠された児童虐待や自発的中絶、暴力的な反イスラム感情とそれを大統領が宥めようとしても悪化する一方だったことなどを暴き出した、がしかし「これはひどい。人間の本質がわかったぞ」と思うことに何の意味があるだろう。との問いに『真実は役に立つ、この知識は少なくとも3通りのやり方で私たちの暮らしを良くする物だ、第1に、不安や気恥ずかしい行動を抱えているのは自分だけではないと自信が持てること。第2に、苦しんでいる人々に気づかせてくれること。第3に、問題を解決へと導く力になること。としてグーグル検索データやネット上の真実の泉は、人間の心の闇をかつてないほど明らかにする。だがそれは私たちを強くもする。データを持って心の闇と戦うことができるのだ。』と述べています。さらに『私はビッグデータがもたらす理解に立脚した革命が起きると予言した。だがそれは、どんな問題についてもデータを集めればよいということではない。そしてビッグデータは人間が長年にわたって編み出してきた様々な方法を用済みにする物でもない。むしろ補完的なものだ。』とも述べており乱用の危険や倫理的問題にも触れています。

日本ではホンネとタテマエという言葉は良く聞きますが、アメリカでもホンネとタテマエはあるんですね、日本はどちらかというとホンネはこんなところじゃないだろうか?と、予測はつきやすいようですが、アメリカの方がより複雑な気がします。意見を人間同士が話し合って得られた本音ではないので、ビッグデータによって得られたホンネは、やはり取扱注意であることは間違い無いと思います。こうした結果を一人ひとりが考えなければならない時が来たのだと感じています。

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