Netflixオリジナルドキュメンタリー「ヴィルンガ」を観ました。コンゴ民主共和国で最古(1925年創設)の国立公園「ヴィルンガ国立公園」とそこに生息する絶滅が危惧されるゴリラを、命懸けで守るレンジャーたちの実話を記録した作品です。ちなみに1925年(大正14年)に日本では、NHK東京放送局(後のNHK日本放送協会がラジオ放送開始した年であり、25歳以上の男子に選挙権が与えられた、普通選挙法が交付された年です。ここでざっとコンゴ民主共和国とヴィルンガ国立公園について説明しますと、コンゴ民主共和国は中部アフリカに位置する共和制国家で、15世紀頃まではコンゴ王国の一体的な領域でしたが、16世紀にポルトガルによる制服を経た後、19世紀のベルリン会議で3つの領地に分割されたことからベルギー領(ベルギー国王の私有地だったこともある)となり、50年の植民地時代が続いた。のちに独立を果たすが1週間経たずして内乱が始まり、国体が幾度か変更され1971年からザイール共和国、1997年には現在のコンゴ民主共和国となった。首都はあのモハメド・アリ対ジョージ・フォアマン戦が行われたキンサシャ特別州です。ヴィルンガ国立公園は多様な動物相の中でも、特にマウンテンゴリラとカバの生息地として研究対象にもなっていたのですが、隣国ルワンダの内戦で発生した難民の大量流入などで環境が悪化し、混乱の中で多数のカバやゴリラが殺されています。この作品では上記のような内戦や環境悪化などに加えて、石油採掘の利権が絡んできます。石油の採掘が悪だとかどうでも良いとは言いませんが、法律を無視し、地元の生活者の意見も聞かず試掘を強行しようとして、裏金があちこちにばら撒かれて行きます。国立公園内のことなので問題は深刻な様に思えます。まさに命懸けであることを証明しているのですが、2014年、実際公園の管理を行なっているメロード所長は石油採掘に抵抗して襲撃を受けて重傷を負っています。お金は大切だと思いますし、国が潤うことも重要だと思いますが、自然とお金を天秤にかけることは、何かモヤモヤするというか釈然としないものを感じます。回復不能の負の遺産を次世代に残さないという観点を持たなければならないと考えさせられました。興味のある方は是非ご覧ください。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた作品です。