ファシア④痛み探偵の事件簿

2022年06月03日 08:57

「痛み探偵の事件簿」と言う本を読みました。これは諏訪中央病院リウマチ膠原病内科 須田万勢医長によって執筆された、発痛源の特定が難しい非炎症性の骨格筋痛を、エコー所見から器質的、機能的に探り、エコーガイド下ファシアハイドロリリースによって治療してゆく、総合診療をめざす医師やPT、OT、鍼灸師に向けた本です。ミステリー・推理小説仕立てになっていて、シャーロックホームズ風の自称「痛みの私立探偵」Dr写六が触診所見やラボデータ、超音波エコー所見も駆使し、見事な推理で病態を把握して治療に繋げていきます。小説を読むような感覚で読めましたので、医師でなくても内容は十分理解できました。ここで改めてファシアについて説明したいと思います、日本超音波鍼灸協会によりますと、①筋膜myofasciaに加えて腱、靭帯、脂肪、胸膜、心膜など内臓を含む膜など骨格筋と無関係な部分の結合組織を含む概念であり、その繊維配列と密度から整理される。②鞘、シート、あるいは剖出可能な結合組織の集合体で、裸眼で肉眼的に確認可能なほどの大きさがある。そして、fasciaは皮膚と筋の間、筋周囲、末梢神経と血管をつなぐ、それら関連構造をも含む。上記2種類の見解がありますが、未だ統一見解には至っていないそうです。さらにエコーガイド下ファシアハイドロリリースについても説明しますと、エコーガイド下ファシアリリースには注射、鍼、徒手などの方法がありますが、そのうち注射による方法をエコーガイド下ファシアハイドロリリースと呼びます。本の中では生理食塩水+キシロカインの薬液を注入しています。医学の進歩は早いです。ここ数年ファシアが注目され始めたなあと感じていたら、治療現場でかなりの実績をあげているようです。聖路加病院 岡田正人センター長が推薦文の中でこう書いています。疼痛をこじらせて慢性疼痛になってしまっている患者さんは、痛みの原因を理解し薬物療法を行なっても、いつの間にか炎症性の疼痛から治療過程で非炎症性の構造的な問題になっていることが少なくないのかもしれません。・・・・・・・・骨格筋系の超音波検査が急速に普及し始めて10年以上たち、総合内科の分野でも重要な診断手法になっています。・・・・(「痛み探偵の事件簿」推薦文の一部を抜粋)。

私もstacking Fascia(白く重積したファシア)をリリースする方法として鍼は十分有効であると感じています。鍼灸師も医学の進歩についていける様に、もっと学ばなければ・・・・・・・・・。

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