逢い見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思わざりけり
権中納言敦忠 小倉百人一首
村上春樹著「女のいない男たち」の中の短編小説、1人の素直な男の悲しい恋愛を描いた「 独立器官」に出てくる短歌です。
今回は映画「君の膵臓をたべたい」2017年月川翔監督を観ました。もともと住野よるさんのデビュー作で2016年「本屋大賞」2位となっている青春小説を実写映画化したものです。ある高校教師が余命1年を宣告されているにもかかわらず、精一杯生きることを諦めなかった高校時代のクラスメイトとの思い出を回想することで物語は進んでいきます。今回は小説を読まずに映画を見たのですが、ストーリーを知らずに観ることをお勧めします。例によってこの手の映画に弱いおっさんである私は泣きながら見ることになるのですが、王道中の王道の青春恋愛映画だと思います。お互い自分にないものを持っている相手と心を通わせて成長していく。だんだん心が通いあっていくうちにお互いの心が繋げられていく。ネタバレになるといけないので詳しくは書きませんが、回想によって物語が進んだり、手紙の伏線などは「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の脚本を書いた吉田智子さんらしい感じがします。桜の季節に会った映画を探して何気なく観てみようと思ったのですが、ものすごく得した気分になりました。ぜひ今の季節におすすめの映画ですので観てみてください。
(ちなみに最初に書いた短歌ですが、最近、「女のいない男たち」を読んでいたので、映画に合っていると思い、思いつきで入れてみました)