スタンフォード式脳と体の強化書

2022年03月25日 08:52

「スタンフォード式脳と体の強化書」はトップアスリート集団を支えるスタンフォードスポーツ医局で、アソシエイトディレクター兼アスレチックトレーナーを務めている山田知生さんによって執筆された、「自分史上、最高の自分(The best version of myself)」を目指すコツか書かれた実践書です。なぜ人は疲れるのか?そもそも疲労とは?ストレスとは?いいストレスと悪いストレスの違いとは?どうしたら疲労を解消できるのか?人の「意欲」とは、どうやって生まれるものなのか?失敗を恐れずに常に前進し、成果を上げていくには、どうしたらいいのか?。こうした疑問に答えつつ、「自分史上、最高の自分」は自分自身の行動を選択することによって、もたらされるという考えをもとに実践法も紹介してくれます。

「ゾーン」や「フロー」に入るための成長型マインドセットの話や、迷走神経の活性度(ベーガル・トーン)を上げるためのIPA呼吸法の話も非常に興味深かったのですが、一番興味深かったところは、大人の脳の成長についてでした。エラーは脳の可塑性を飛躍させるのに重要な役割を果たしているのですが、大人と子供では、エラーが起こった時の反応が異なるそうで、子供はうまくいかなくても、再び失敗する恐れより、「どうしたらうまくいくのか」という好奇心が先に立ち、何でも挑戦していけるので、自然と脳が成長して行く一方で、20代半ばを過ぎた大人の場合は、「うまくいかなかった原因を知りたい」と考えてしまい、「次にどうすればいいのか」が明確にならないと集中することが難しく、脳も成長しづらいとのこと。大人は子供のように能動的に変化していけるわけではなく、どちらかというと変化を避けてしまいがちなのでしょう。

これに対する処方箋として山田さんは、大人は自分で自分を動機付け、自分の集中力をどの様な配分にするかを検討し、エラーが起きたら修正し適度に休むことが必要だと説明しています(①自主的な意志、②集中、③エラーと休息の3つ)。一度出来上がっている大人の脳の回路は、繋ぎ直すのにエネルギーと時間がかかる様であり、長期的な視野をもった戦略的な思考が必要になるのではと感じました。実践編では山田さんが取り入れているDNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization動的神経筋安定化)も出てきますし、もう一度読んで吸収できるところはできる限り身につけたいと思いました。おすすめの本ですのでぜひご一読ください。

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