ドライブ・マイ・カー

2022年03月12日 08:09

「ドライブ・マイ・カー」は濱口竜介監督、大江崇允・濱口竜介脚本による2021年公開の日本映画です。村上春樹さんの短編集「女のいない男たち」の一作目に収録されている「ドライブ・マイ・カー」が原作となっています。Rotten Tomatoesでは平均評価は8.7、第74回カンヌ映画祭では脚本賞ほか全4冠、第79回ゴールデングローブ賞では非英語映画賞を受賞。第94回アカデミー賞では日本映画では初となる作品賞にノミネートされたほか、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートされています。短編小説の主要な登場人物などの基本設定は踏襲されていますが、映画内の多言語演劇とストーリーが呼応し合い、出演する多国籍の俳優たちとの関わりなどを織り交ぜた、新しい物語になっています。私は短編小説の「ドライブ・マイ・カー」を先に読んでから映画を見たのですが、濱口監督が原作に惚れ込んで自ら映画化を熱望して、脚本も手がけているだけあって、カンヌ映画祭での脚本賞も頷ける脚本力を感じました。大体のあらすじはこんな感じです。舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻の音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう・・・。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが・・・。喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく(映画公式サイトより)。あとは是非、映画をご覧ください。

原作でももちろんそうですが、車で走っているシーンがものすごく多いです。車内のシーンもそうですが、遠景から撮っていたり、並走して撮っていたりするシーンなどあらゆる撮り方で車を撮っています。ある意味サーブも主役なので当然かもしれませんが、ほぼ3時間という長さからすると編集でカットしたくなるのでは?と素人ながら考えてしまいます。逆に考えればそこが濱口監督のスタイルで重要なのかもしれません。長いといえば3時間は長いですがあまり気になりませんでした。私が気に入ったシーンは、広島中環境事業中工場から海辺に出て、家福とみさきがタバコを吸いながら話すシーン。ともう一つラストの韓国のシーンです。ラストの韓国のシーンは監督のこだわりの様なものを感じます。生きることの苦しさ、自分を差し出すことの難しさ。葛藤の果てに辿りつく先・・再生とは。我と彼は別々であって、同時に一体なものであるような禅宗的な感覚も感じられる作品でした。

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