コンビニ人間

2021年12月30日 11:06

ほぼ毎日コンビニにはお世話になっております。公共料金の支払い、昼食のおにぎり、最近は宅配の受け取りまでできる様です。最近は一人用のレンジで温めるだけのおかずシリーズが、どのコンビニでも充実していて助かります。コンビニエンスストアなので便利なのは当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、改めて考えるといつ行ってもだいたい予想通りの品物がきちんと並んでいるのはすごいことだなあと感心させられます。今回は「コンビニ人間」を読んでみました。「コンビニ人間」は2016年に刊行された村田沙耶香さんの小説です。この作品で第155回芥川賞を受賞されています。あらすじは・・・主人公の“古倉恵子”は36歳で正規の就職をせずに、大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けていた。彼女は子供の頃から変わり者で人間関係は希薄、恋愛経験も皆無だったが、コンビニで働くことによって、世間一般の人間の規格の沿った、普通の人間らしく振る舞うことができた。生活のほとんどをコンビニの仕事を円滑に行うためという基準に従って過ごして常人を演じてきたが、徐々に年齢を重ねてきたことで周囲の人間とのズレが浮き彫りになってくる。ある日婚活目的の新入り男性がアルバイトの入ってきたことで、彼女の安定した生活が崩れていく・・・・。こんな感じです。作者の村田沙耶香さんは、実際、大学時代に始めたコンビニのバイトを芥川賞受賞後もしばらく続けていたそうです。この主人公はコンビニの店員でいる時のみ世界の歯車となる経験をしている様ですが、世界の歯車としてきっちりハマって自分が何かの大きな歯車の一つとしていられると感じることってなかなか無い様な気がします。コンビニの店員でもなんでもそうした充実感を得られているのはむしろ羨ましい。「普通」という同調圧力というか、世の中の多数派の空気みたいなものに負けずに突き進んでほしいキャラクターです。海外だったらそのまま突き進んで最後はコンビニを経営してしまうサクセスストーリーになっていくのかもしれません。

作者の村田沙耶香さんは、10歳の時に執筆を開始し、執筆をしているときだけ自分自身を表現し解放することができるようになったと感じていたそうです。10歳の時にそうしたものを見つけられるのも才能の一つなんだと思います。次回作はどんなキャラクターが登場するか楽しみです。

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