以前、今年の本屋大賞2位を獲得した「お探し物は図書室まで」についてブログに書きましたが、その2年前の2019年に青山美智子さんが執筆されています「鎌倉うずまき案内所」お読みましたので、今回はそちらについて書きたいと思っています。「お探し物は図書館で」の場合は、ある図書館にいるスーパーアドバイザーのような司書さんが、人生に悩んだり、迷ったりしている人々にぴったりの本を紹介し、その人々の見えていない部分にそっと光を当ててサポートしてあげるような、ファンタジーの要素を若干含んだ作品になってました。しかし今回の作品は思いっきり振り切れた直球のファンタジーです。考えてみれば先日紹介した柳田国男さんの日本の昔話などはどれもファンタジーといえばファンタジーですよね。現実にお地蔵さんが歩いていたり、夜中知らない子供が家の中を走り回ってたり、狐や狸が変身していたら大混乱です。この作品も読んでいると昔話を読んでいるような感覚があります。
何かに迷い、何かを見失い、自分すら見失ってしまった人々が鎌倉を訪れると、不思議と迷い込んでしまう古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて・・・・・・・・「はぐれましたか」。とぼけた双子のおじいさんと、とぼけたアンモナイトの案内所の所長が与えてくれるアドバイスはどう影響するのだろうか?・・内容はそんなところでしょうか。それぞれ接点のある6人の人物が登場して、2019年から時代を遡っていく6つのストーリーで成り立っており、それぞれの人生が複雑に絡み合いながら、螺旋階段を下りて行くような構成になっています。
確かに生きていれば何かを見失って迷うことはあるはずで、そんな時、こんな案内所があったらぜひ行ってみたいなあと思います。所詮ファンタジーだから・・・・・・・現実とはかけ離れた世界の話だろうとはもちろん思いますが。昔話が長い間語り継がれているのはなぜか?ファンタジーに隠された中に、何か心に響くものがあるからではないでしょうか?。何かを見失ってしまったときに、何かに「気づくこと」はもちろん案内所で教えてもらうものではありません。どこにでもあるがなかなか見つからない・・「気づくとは」そんなものなのでしょう。もちろんこの本の中にも「気づくこと」はたくさんあるようです。